研究課題/領域番号 |
24591830
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
青木 昌彦 弘前大学, 医学部附属病院, 准教授 (70292141)
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研究分担者 |
畑山 佳臣 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20451487)
成田 雄一郎 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30311385)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | デュアルエネルギーCT |
研究概要 |
デュアルエネルギーCTを用いたモノクロマティックイメージングによる物質分析の精度と有用性について基礎的および臨床的に明らかにすることを目的に今年度の研究を行った。 まず、造影剤(ウログラフィン)と蒸留水、無水エタノールと蒸留水の混合液をデュアルエネルギーCTで撮影し、ヨード密度と水密度を求めた。その結果、ウログラフィンを0.1%、0.2%、0.5%含んだ混合液のヨード密度は、各々7.52、12.96、30.92(100ug/cm3)、無水エタノールを20%、40%、60%含んだ混合液の水密度は、各々964.5、907.7、816.1(mg/cm3)であった。以上の結果により、物質の濃度と測定値は比例関係にあることから、デュアルエネルギーCTを用いた物質分析の精度はほぼ正確であることが明らかとなった。しかし、混合液の配置を変えると測定結果に誤差が生じることが分かり、ビームハード二ングによるアーチファクトがデュアルエネルギーCTでも生じているものと考えられた。 続いて、限局型肺腫瘍54例について、デュアルエネルギーCTによる解析を行った。その結果、3cm以上の腫瘍は3cm未満の腫瘍と比較しヨード密度が低かったが、腫瘍のCT値とヨード密度に相関を認めなかった。大きな腫瘍では血流の低下により低酸素状態にあるものと考えられた。以上の結果により、従来のCTを用いた造影効果の判定よりもデュアルエネルギーCTを用いたヨード密度の測定値の方が、腫瘍の血流状態をより正確に把握できる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
デュアルエネルギーCTを用いて複数の検体を同時に撮影する場合、検体の配置によってはビームハード二ングによる測定値の誤差が生じることが分かったため、検体の配置と測定値の関係について、追加の基礎的実験が必要である。 また、切除不能進行肺癌と進行頭頚部癌を各々100例を目標に症例集積を行っているが、紹介患者数の減少のため頭頚部癌の症例集積がやや遅れている。肺癌についてはおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
検体の配置と測定値の誤差について、基礎的実験を追加する。基礎的実験では水密度とヨード密度に着目して精度の検証を進めてきたが、その他の物質についてもデュアルエネルギーCTで解析が可能かどうかを検討する。 引き続き肺癌と頭頚部癌の症例集積を重ね、腫瘍の血流状態と放射線の治療効果との関連性を明らかにしたい。 また、高エネルギーの単色エックス線等価画像を用いると金属アーチファクトの少ない画像が得られるので、歯冠のアーチファクトの軽減が頭頚部癌の放射線治療計画に有用かどうかを人体ファントム等で検討したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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