研究課題/領域番号 |
24591830
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
青木 昌彦 弘前大学, 医学部附属病院, 准教授 (70292141)
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研究分担者 |
畑山 佳臣 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20451487)
成田 雄一郎 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30311385)
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キーワード | デュアルエネルギーCT / 肺腫瘍 / 低酸素 / 放射線抵抗性 |
研究概要 |
デュアルエネルギーCTを用いた物質分析の精度と有用性について、基礎的および臨床的に明らかにすることを目的に今年度も研究を行った。 昨年度の研究で明らかとなったビームハードニング効果が測定値に与える影響について、水ファントムを用いて検討を行った。その結果、水のCT値が、水ファントムの配列や個数によって影響を受けていることが明らかとなったが、その誤差はごく僅かであった。 続いて、限局型肺腫瘍57例について、デュアルエネルギーCTによる解析を行った。その結果、腫瘍径が3cmを超える腫瘍では、3cm以下と比較し有意にヨード密度が低く、3cmを超える腫瘍では血流低下とそれに基づく低酸素状態が示唆され、放射線抵抗性をある程度予測できる可能性が示唆された。一方、腫瘍内のCT値(平均値)とヨード密度(平均値)にまったく相関がみられなかった。CT値はヨード造影剤のほかに、腫瘍内の水、空気、石灰化などの影響を受けるために、ヨード密度との相関がなかったものと考えられた。したがって、腫瘍の血流評価にはCT値よりもヨード密度のほうが有用であると考えられた。この研究成果を欧文誌に投稿し受理された。 一方、肺野の物質分析の結果が、放射線性肺臓炎の予測因子になり得るかについても検討を追加した。放射線性肺臓炎発症群の肺野のヨード密度は非発症群と比較しやや高いものの、症例数が少なかったためか統計学的に有意とは言えなかった。今後も症例を追加して検討を加えたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プライマリーエンドポイントを局所制御、セカンダリーエンドポイントを領域制御として、頭頚部癌と肺癌各々100例について中間解析を行う予定であったが、肺癌の症例集積数は目標に達したものの、頭頸部癌はやや遅れている。観察期間がまだ短いため、分析結果と予後との相関関係がまだ明らかではないが、腫瘍サイズとヨード密度との相関について肺癌で検討した論文が欧文誌に受理された。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き頭頸部癌の症例集積と経過観察を継続し、腫瘍の血流状態と放射線の効果との関連性を明らかにしたい。 また、デュアルエネルギーCTの特徴のひとつでもある金属アーチファクトの除去が、放射線治療計画や前立腺癌シード治療後の術後線量評価に有用かどうかについても検討を加えたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
統計解析ソフトを購入する予定であったが、最新のヴァージョンを入手するため、次年度に持ち越した。 SPSS解析ソフトの最新版を購入する予定である。
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