研究課題
定位放射線治療を行った転移性乳癌26症例について、放射線治療前後の血清を採取し、ヒト乳癌細胞株から抽出した蛋白に対する抗原抗体反応についてウェスタンブロット法を用いて検討した。その結果、16例(57%)に腫瘍前に認められなかったIgGバンドが照射後に認められた。また、この反応が認められた症例群で3年生存率が高い傾向が認められた(p=0.06)。さらに、13種類のサイトカイン値をサイトカインアッセイを用いて計測した結果、陽性群では治療後のGM-CSFとINF-γが有意に高かった。以上から、放射線治療に誘発された抗腫瘍免疫反応が治療成績に影響する可能性が示唆される結果であった。I-III期食道癌に対する同時化学療法併用の陽子線治療成績を解析した。40例に対する解析の結果、Grade 3以上の心肺は認められず、本法は有害事象の少ない化学放射線治療法であると考えられた。その理由として、心臓や肺の照射線量と照射体積が関与する可能性があると考え、同じ治療方針でX線治療で化学放射線療法を行った症例と陽子線治療を行った症例に対して心臓および肺の線量-体積ヒストグラムによる検討を行った。心肺毒性の生じた症例群と生じなかった症例群では有意に照射体積の相違が認められ、ROC解析により2群間のカットオフ値を設定できた。X線治療を施行し、心肺毒性の生じた症例では陽子線を用いる事で大部分の症例でカットオフ値を下回る事が可能であった。
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Anticancer Research
巻: 35 ページ: 1757-62
J Radiat Res
巻: in press ページ: in press