研究課題
術前温熱化学放射線療法が施行された直腸がん患者において、温熱化学放射線療法前・後の腫瘍組織のMHC Class I発現の変化について検討したところ、温熱化学放射線療法により、腫瘍組織のMHC Class Iの発現が有意増強することが認められた。予後(生存率、局所制御率、遠隔転移率)との相関は認められなかったが、腫瘍組織のMHC Class I発現が増強することは、温熱化学放射線療法により腫瘍のT細胞性免疫への寛容を初期化する可能性を示したものであり、免疫療法との併用療法が相乗的な効果をもたらす可能性を示唆している。(現在、論文投稿中)。また、脳腫瘍(神経膠芽腫)でも、放射線治療前の腫瘍組織を用いてMHC Class I発現と予後に関して検討を行ったが、予後との相関は明らかではなかった。現在、腫瘍内のHMGB1発現・Tリンパ球浸潤・ミクログリア(樹状細胞)浸潤の程度と予後との相関について検討中である。マウスモデルでは、EL4リンパ腫モデル、ルイス肺癌モデルにて、放射線(X線)照射後に全身性の腫瘍特異的な抗腫瘍免疫の活性化を明らかにし、かつ、放射線の局所効果が生体の免疫能によって大きく変わることを免疫を修飾する抗体(抗CD8抗体、抗CTLA4抗体)の併用により明らかにし、英文国際誌に掲載予定となっている。また、放射線(X線、および、炭素イオン線)照射後のHMGB1発現について、複数の腫瘍細胞を用いて検討中である。
2: おおむね順調に進展している
研究は、当初の計画に沿って、ほぼ予定通りに実行されており、成果の一部については、英文国際誌に掲載が予定されている。また、その他の成果も、論文投稿の段階まで進んでいる。
研究実施計画に従い、臨床検体(血液、腫瘍組織)を用いた研究を継続する。また、同様に研究計画に従い、マウスモデルで放射線治療(X線に加え重粒子線も追加)による抗腫瘍免疫の活性化とその修飾について検討する。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件)
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