研究課題
神経膠芽腫幹細胞をヌードマウスに脳内移植し、6Gyの全脳照射を施行し、その生存および神経症状の観察と腫瘍形成能を測定することで放射線抵抗性を測定した.脳内で増大する移植細胞を切除摘出し、下記のごとく解析を行った.作成後は,ウェスタンブロットによるGRP78蛋白発現,RTqPCRによるmRNAレベルのGRP78も測定し,続いて神経膠芽腫治療で頻用されるテモゾロミド(TMZ)併用X線照射群を解析に加え,上記手法により放射線増感効果を検証する.LN18においてX線6Gy+TMZ 100nMを加えると,cleaved caspase 7を経由してcleaved caspase 3の強発現を認め,アポトーシスを起こすことが確認された.続いて,照射単独群および照射+TMZ群にGRP78阻害薬を併用し,その細胞死パターンおよび放射線感受性を検証した.神経膠芽腫細胞にX線6Gy照射し,コロニー形成法,MTSアッセイにより,これらの細胞株の放射線生存率を測定した.そして,X線照射による神経膠芽腫細胞の細胞死のパターンおよび強く発現される経路をウェスタンブロットにより同定した.また,放射線による最も中心的な殺細胞機構はDNA2重鎖切断である.野生株,非特異的抑制株およびGRP78抑制株のDNA2重鎖切断を測定するため,コメットアッセイ,γH2Axアッセイを行った.GRP78は細胞照射後のDNA修復に関与することを明らかにした.DNA2重鎖切断修復に関しては,リン酸化DNA-PKcsを始めとするDNA修復蛋白とGRP78との関連を,その発現および免疫共沈法によって調べた.これらのメカニズムによって,神経膠芽腫において,GRP78は放射線感受性を低下させていることがin vitroで示唆された.
2: おおむね順調に進展している
in vitro研究を進めたが、再現性に乏しいデータも含まれたため。また、GRP78による細胞周期調節はフローサイトメトリーによって解析できなかったため.
非照射GRP78抑制株では細胞がG1期から放出され,放射線感受性の高いG2/M期に細胞が蓄積されることにより、GRP78による細胞周期調節はフローサイトメトリーによって解析する.in vitroではGRP78による照射後の細胞内代謝能をATPアッセイによって測定する.また in vivo でのGRP78 knockdownによる放射線感受性測定を同時進行させる.
当初使用予定の in vitro実験が一部遂行されなかったため。26年度で該当実験を遂行する。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件)
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