本研究においては,神経膠芽腫幹細胞においてGRP78特異的にknockdownすることにより、その幹細胞としての形質”stemness”の喪失を図るとともにその放射線抵抗性メカニズムを解明することを目的とする。またGRP78阻害薬も近年報告されてきており,放射線療法との併用による相乗効果も検証する. 期間内に明らかにすることとしては、1.神経膠芽腫幹細胞における放射線抵抗性と小胞体ストレス応答の関連を明らかにする。2.小胞体ストレス応答蛋白阻害薬併用放射線療法による神経膠芽腫の治療効果を in vitroおよびin vivoで検証すること、である。 学術的な特色・独創的な点及び予想される結果と意義としては、本研究は神経膠腫幹細胞にsi RNAを用いることによって,小胞体ストレス応答蛋白を特異的にknockdownして、初めてその放射線抵抗性のメカニズムを解明することになる.また小胞体ストレス応答蛋白に対する特異的阻害剤を併用した放射線療法により,難治性腫瘍の代表格である,神経膠芽腫の治療成績の大幅な上昇がもたらされる可能性がある. 研究方法としては、神経膠芽腫幹細胞にsiRNAによりGRP78を特異的にknockdownさせた細胞を用いて,細胞周期変化,照射による2重鎖DNA切断,細胞内代謝能変化を計測し,GRP78の放射線抵抗性のメカニズムを検証する.検証した放射線による神経膠芽腫細胞死メカニズムをGRP78がCa2+結合蛋白である観点からを研究する.また in vivo でのGRP78 knockdownによる放射線感受性増感効果測定を行う.神経膠芽腫幹細胞にsiRNAによりGRP78を特異的にknockdownさせた細胞を用いて,細胞周期変化,照射による2重鎖DNA切断,細胞内代謝能変化を計測し,GRP78の放射線抵抗性のメカニズムを検証する.
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