研究課題/領域番号 |
24591838
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
溝脇 尚志 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90314210)
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研究分担者 |
則久 佳毅 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90456898)
井口 治男 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60648880)
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キーワード | 放射線治療 / 前立腺癌 / 定位放射線照射 / 強度変調放射線治療 / 画像誘導放射線治療 |
研究概要 |
前年度に症例登録を開始した前立腺内石灰化の三次元位置データを取得することにより前立腺の照射中の動きを評価する、臨床研究計画「前立腺外照射中における前立腺骨盤内移動量に関する研究」(京都大学医の倫理委員会承認:第C594号)は本年度8例を登録し、目標の20例に対して16例のデータを集積した。また、得られた中間解析データから、前立腺IMRTにおける照射中の前立腺位置移動が線量分布に与える影響を評価し、呼吸性移動よりは基線移動の影響が有意に大きいという結果を得た。前立腺内主要病巣および前立腺の線量カバーに与える影響は、呼吸移動でそれぞれ3.9% ~0.3%、0.6~1.1% 、基線移動でそれぞれ3.1~67.8%、3.6%~13.3%であった。本検討結果は論文にまとめてpeer review誌に投稿した。 また、4次元動体ファントムによる照射実験に用いるべく、前立腺癌のα/β値を1.5 Gyとした場合の至適な同時ブーストIM-SBRTプランの検討を行った。 さらに、前年度の検討結果に基づいた研究計画の変更にしたがって、54Gy/15fr.の定位強度変調放射線治療の安全性と実行可能性を評価するためのパイロット臨床試験:「前立腺癌に対する寡分割定位的強度変調放射線治療の安全性評価のための臨床研究」プロトコールを作成し、京都大学医の倫理委員会の承認を得て(第C751号)症例集積を開始した。 また、モンテカルロ法による線量分布計算プログラムを改修して同時ブースト強度変調定位追尾照射の線量計算に対応可能なシステムの開発を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前立腺癌に対する外部放射線照射療法施行中の患者において前立腺内石灰化の三次元位置データを取得する臨床研究計画「前立腺外照射中における前立腺骨盤内移動量に関する研究」(京都大学医の倫理委員会の承認:第C594号の症例集積は順調である。(H24年度:8例、H25年度:8例、経16例で目標登録数の20例まで後4例。)また、得られた中間解析データから、前立腺IMRTにおける照射中の前立腺位置移動が線量分布に与える影響の評価も行い、結果のpeer review誌への投稿も完了し、こちらは順調に進展している。 一方、「前立腺癌に対する寡分割定位的強度変調放射線治療の安全性評価のための臨床研究」プロトコールを作成し、京都大学医の倫理委員会の承認(第C751号)を得て症例集積を開始したが、前立腺癌は外照射までに約半年間のネオアジュバントホルモン療法を行うため、実際に登録症例の治療が開始可能となる時期は来年度半ばと予想され、本臨床試験の症例集積は当初の計画からやや遅れる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
「前立腺外照射中における前立腺骨盤内移動量に関する研究」(第C594号)の登録を完了するとともに、既に取得した移動データの解析を並行して進める。また、当院にて強度変調放射線治療で治療された前立腺がん患者の治療成績や直腸線量評価をさらに進め、新プロトコールに適応できる線量制約を確立し、データの論文化を行う。 本年度開始したファントム実験を継続・推進し、データ取得および解析を進めて、同時ブースト強度変調定位照射計画を確立し、前立腺同時ブースト強度変調定位放射線治療における追尾照射の有用性の証明を目指す。 また、「前立腺癌に対する寡分割定位的強度変調放射線治療の安全性評価のための臨床研究」(第C751号)の症例登録をできるだけ進めるために、対象患者のリクルートに努める。 同時に、モンテカルロ法による線量分布計算プログラムを改修して同時ブースト強度変調定位追尾照射の線量計算に対応可能なシステムを開発する。
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次年度の研究費の使用計画 |
追尾照射の各位相の占領分布を合算して評価するためのワークステーションを購入する予定であったが、他の研究費で購入したワークステーションで目的の評価が可能であることが判明したために、ワークステーションの購入を中止したため。 フィルム実験等の研究推進に必要な消耗品を購入するとともに、情報収集および成果発表のために必要な旅費を支出する。また、論文投稿に必要な校正費用等を支出する。
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