研究課題
平成24、25年度で、PARP阻害剤オラパリブやtopoisomerase I阻害剤の放射線増感効果を細胞レベルで検討した。これらの放射線増感効果は、DNA二重鎖切断の形成数を増加させることによると考えられる。臨床上、これらの放射線増感剤による放射線増感効果が期待できる癌の予測のため、この基礎データとして、放射線治療効果とDNA二重鎖切断修復の関係を検討することが必要である。そこで、免疫組織染色で、DNA二重鎖切断修復の非相同末端接合修復に関わる蛋白の発現を調べた。放射線による細胞死では、DNA損傷の一つであるDNA二重鎖切断が重要であり、その主な修復機構の一つに非相同末端結合がある。これに関与する蛋白として、XRCC4、Ku70、Ku86がある。これらの蛋白発現の強度と放射線治療成績の相関性を解析し、治療効果の予測因子となりうるかを検討した。対象は2001年から2012年において子宮頸部癌で術前照射を施行された、110例である。病期分類は、大部分はstage IからIIであるが、一部stage IIIも含まれた。放射線治療は、1回2グレイで、合計40グレイを照射した。大部分の症例では、照射単独で施行された。治療前における、生検組織を用いて、前述した蛋白について免疫染色を行った。標本の腫瘍組織の中で最も強く染色される領域について、蛋白の発現率を算出した。全生存率や疾患特異的生率をエンドポイントとして解析したが、XRCC4、Ku70、Ku86、いずれの発現率も、単変量解析において、有意な相関はみられなかった。これは、手術の根治度や、術後の化学療法が異なるので、それらが、影響している可能性がある。現在、手術標本の病理学的な放射線治療効果と、XRCC4、Ku70、Ku86 の発現に相関がないか解析中である。
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Radiotherapy and Oncology
巻: in press ページ: in press
10.1016/j.radonc.2015.04.008