研究課題/領域番号 |
24591846
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
染谷 正則 札幌医科大学, 医学部, 講師 (60404711)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 放射線感受性予測 / 有害事象予測 |
研究概要 |
平成24年度は研究計画を院内の倫理委員会およびヒトゲノム審査委員会に申請して承諾を得た。その後、過去に前立腺癌で根治的放射線治療を行った約80名から同意書を取得し、血液を採取させてもらった。 血液からリンパ球を抽出し、DNA解析用、RNA解析用、放射線誘発フォーカス計測、DNA-PK活性測定用のサンプルに分けて処理を行った。サンプルは連結匿名化を行った。匿名化番号は二重に鍵のかかった金庫にて保管し、個人情報管理者に管理を依頼した。 また、対象患者の放射線治療計画情報、臨床情報などの抽出を行っている最中である。具体的には、放射線治療計画情報としては、前立腺への照射線量、時期、直腸や膀胱の被曝線量や体積の計算を行っている。臨床情報については、対象患者の病期、内分泌療法の有無、治療後のPSA値の推移、放射線直腸炎の有無、アルゴンプラズマレーザーでの焼却の有無、その他尿路系の有害事象の有無、降圧薬や抗凝固薬の内服の有無、多重癌の発生の有無などを調査している。これらの項目調査は、前立腺癌に対する放射線治療後の有害事象予測において重要な因子なので必須の調査である。 RNA解析については代表的な4名のリンパ球からRNAを抽出してマイクロアレイ解析を行い、有害事象の大きかった個人と少なかった個人の間で特徴的な発現パターンを示すRNAをいくつか同定し、そのプライマーを用意した。これから残り76名分のRNAサンプルについてRT-PCR法によって発現量の測定を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目標は100名の患者よりサンプルを集める予定であったが、調査する患者群の絞り込みによって80名程度しかサンプルは集められていない。しかし、これからも引き続きサンプル採取を続けるとともに、RNA発現解析や放射線誘発フォーカス、DNA-PK活性の測定準備は整っており、おおむね予定通りに研究は進行している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き患者サンプルの採取を行っていく事と、RT-PCR法によるRNA発現解析をまず進める。有害事象の予測に関わるRNA発現パターンが見つかった場合には、細胞培養モデルでのsiRNAノックダウンなどの実験系を用いて、放射線感受性への影響を検討して行く。 DNA-PK活性測定と放射線誘発フォーカスのカウントを行って、個人ごとの内在性の放射線感受性を評価して行く。DNA解析については、遺伝子多型解析を行うにはサンプルサイズがまだ小さいと考えるので、引き続きサンプル数の集積を増やしていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究費に残額が発生した理由としては、上記の通りDNA遺伝子多型解析がまだサンプル数不足により準備が整わない状態であったため、それに関係する試薬の購入、研究打ち合わせに係る旅費、実験にかかる人件費などの執行が遅れているためである。 平成25年度の物品費としてはRT-PCR法を行うためのプライマー購入、細胞培養実験のための培養液、血清購入、発現に変化が見られたRNAのsiRNA作成のための注文費用、リンパ球分離のための試薬購入などが必要である。 旅費としては、当該研究で得られた成果を学会発表し共同研究者と情報交換するために使用する予定。 人件費については、リンパ球分離、RT-PCR法などを行う実験助手への謝金に充てられる。
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