研究課題
平成24-25年度にかけて、当院で限局期の前立腺癌に対し放射線治療を行なった患者約100名からの血液を採取し、リンパ球を抽出してDNA-PK活性、放射線誘発NBS1フォーカスの観察、mRNAおよびマイクロRNA(miRNA)の発現と有害事象である放射線直腸出血、尿路狭窄、膀胱出血との関係を調べた。事前調査として、当該患者における放射線直腸出血および臨床情報、治療計画から抽出した線量分布、直腸線量と体積を割り出し、その関係を調べた。結果として65Gy以上照射される直腸の体積が17%を超えると有意に放射線直腸出血の頻度が増加している事を確認し、この結果を日本放射線腫瘍学会第26回学術大会で報告し、論文として発表した。(Someya et al. Results and DVH analysis of late rectal bleeding in patients treated with 3D-CRT or IMRT for localized prostate cancer. JRR 2015;56:122-127)次にRNA発現について、リンパ球より抽出したmRNA/miRNA発現を解析し、放射線直腸出血のあり/なしの2群に分けて解析した所、Ku80およびmiR-99aという2つのRNA発現を測定する事で、高い精度で放射線直腸出血を起こしやすい患者群を同定する事が可能であった。この結果を日本放射線腫瘍学会第27回学術大会で報告し、論文として発表した。(Someya et al. Relation between Ku80 and microRNA-99a expression and late rectal bleeding after radiotherapy for prostate cancer. Radiother Oncol 2015, in press)尿路狭窄や膀胱出血といった尿路の有害事象については、リンパ球のDNA-PK活性を測定する事である程度予測が可能である事が示された。こちらは現在論文投稿準備中である。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
Journal of Radiation Research
巻: 56 ページ: 122-127
10.1093/jrr/rru080
Radiotherapy and Oncology
巻: in press ページ: in press
10.1016/j.radonc.2015.04.008