研究課題/領域番号 |
24591848
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
山崎 秀哉 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50301263)
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研究分担者 |
坪倉 卓司 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50347465) [辞退]
小林 加奈 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70433282) [辞退]
相部 則博 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50739240)
中村 聡明 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60420452)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 放射線肺臓炎 / 呼気中一酸化窒素 |
研究実績の概要 |
これまでに胸部放射線治療を受けた31名で呼気中NOを測定した。男女比は24:7、年齢は中央値75歳(37歳から87歳)であった。全体では呼気中NOの前値(平均値±SD)22.8±13.1ppbが放射線治療終了時16.2±6.90(p=0.013)と低下が認められた。治療後1ヵ月後でも有意に治療前値より低い17.5±13.0 ppb(p=0.017)の値を示したが、3ヵ月後(19.9±10.6 ppb)以降は前値と比して有意差がない値(6ヵ月後23.8±11.4ppb、9ヵ月後26.1±10.6 ppb、12ヵ月後21.1±9.39 ppb)を示した。内訳では14名の通常分割照射を受けた患者と、17名の定位照射を受けた患者群があった。通常分割照射群では60Gy/30回/6週間の放射線治療が多く治療開始1週間時点で14.4±7.14 ppb、2週16.3±8.17 ppb、3週16.6±8.05 ppb 、4週間12.2±5.89 ppb、5週14.3±8.89 ppb、6週16.75±8.08 ppbだった。 定位照射群のみの解析でも前値27.9±15.2ppbに比して終了時17.8±4.58 (p=0.043)、一ヶ月後21.0±15.9 ppb(p=0.036)、三ヵ月後20.8±11.8 ppb(n.s.)、6ヵ月後26.3±10.7ppb(n.s.)、9ヵ月後30.3±9.23 ppb(n.s.)、一年後17.0±5.29 ppb(n.s.)であった。咳や発熱などの症状のあるGrade 2放射線肺臓炎が5人に発症したが、4名で呼気中NOは最低値の2倍超の増加を見せた。今後肺臓炎予測の有用性を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
症例集積がやや想定より少ないが、5例の放射線肺臓炎が生じており、今後経過観察と解析を行う。一方定位照射例では1例のみの発症で統計的に有意な差を検出できるか微妙である。
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今後の研究の推進方策 |
臨床的な症状や炎症反応と呼気中NO値は相関している症例が多く、最終年度に全体を統計解析してこれまでの研究を総括する。
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次年度使用額が生じた理由 |
呼気中NO測定の有用性を示す統計解析で有意を示すためには、症例集積数と放射線肺臓炎発症率が予想よりやや少ないため、計測・解析・発表に使用予定であった研究費を次年度に持ち越した。。一方これは最近の高精度放射線治療は安全な治療である証拠である。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度夏程度で全体の症例解析を行い呼気中NO測定の有用性を検討するために、あらたな呼気中NO測定装置消耗品購入と学会発表旅費、研究補助、英文校正代・投稿・発表費用等に充てる予定である。
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