研究課題/領域番号 |
24591850
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
茂松 直之 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (30178868)
|
研究分担者 |
深田 淳一 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (50338159)
西村 修一 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (40571138)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 胃癌 / PI3K/Akt/mTOR経路 |
研究概要 |
ヒト由来の胃癌のセルラインとして、分化度とp53の変異の有無に着目して4種類を選択した。低分化型腺癌由来の細胞であるTMK1とMKN45、高分化型腺癌由来の細胞であるMKN28とMKN74それぞれに2Gyから8Gyまで線量を増加させて放射線照射を行い、各セルラインの細胞生存率をコロニー形成法で測定した。得られた生存曲線からは、MKN45が最も放射線照射感受性であった。次にPI3K/Akt/mTOR経路の活性を測定するため、まずリン酸化抗体(p-mTOR)、PTENを準備した。各セルラインに放射線照射を行いWestern blot法で測定した。結果、放射線照射により、PTENとp-mTORの発現が観察された。発現はTMK1において明瞭であった。このことから、照射によるPI3K/Akt/mTOR経路の活性化が確認された。一方、各セルラインの生存率とPI3K/Akt/mTOR経路の活性化の程度を比較したが、PI3K/Akt/mTOR経路の活性化による放射線抵抗性が細胞の生存率に直接寄与しているかは、この検討からは推測困難であった。そこで、PI3K/Akt/mTOR経路に関連すると思われる発現物質(PRAS40等)を複数追加して同様に発現量を測定し、Western blot法で結果を解析中である。さらにPI3K/Akt/mTOR経路の活性化に伴うアポトーシス関連物質であるXIAP、Bax、Bad等の発現量についても現在解析中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
胃癌のセルライン選定及び放射線照射による生存曲線の作成は順調であったが、PI3K/Akt/mTOR経路の活性を測定するために適した抗体の選択と、Western blot法による抗体の発現をよい条件で観察することに時間を要した。さらに、p-mTORの発現量と生存曲線から求めた放射線感受性の関係については追加の実験が必要であり、当初予定していたPI3K/Akt/mTOR経路阻害剤の実験まで到達できなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、追加解析中であるPI3K/Akt/mTOR経路に関連する複数の物質の発現量を測定し、放射線感受性との関係を検討する。次にPI3K/Akt/mTOR経路阻害剤によるp-mTOR 等のPI3K/Akt/mTOR経路関連物質の発現量を測定し、有効な発現抑制が得られるか検討する。有効なPI3K/Akt/mTOR経路阻害剤を選択したら、阻害剤による細胞生存率について投与量を変えながら検討する。阻害剤は複数選択し、放射線照射と阻害剤の投与を併用して、細胞生存率とPI3K/Akt/mTOR経路関連物質の発現量を測定する。放射線照射との併用が有効なPI3K/Akt/mTOR経路阻害剤を特定する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度の人件費として200,000円ほど計上する。また、PI3K/Akt/mTOR経路の活性を測定を継続するため、抗体購入、Western blot用の試薬等の購入に充てる。また、一定の結果が出れば、学会での報告を行う。 未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果であり、翌年度の消耗品購入に充てる予定である。
|