研究課題/領域番号 |
24591853
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都医療科学大学 |
研究代表者 |
澤田 晃 京都医療科学大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80543446)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 干渉検知 / 治療計画 |
研究概要 |
多方向からの3次元照射では、ガントリ回転やベッドの回転、並進等により位置姿勢を変化させるが、機器間の干渉が生じることがある。本研究では、治療計画時に機器間等の干渉を3次元表示すべく、放射線治療装置Vero4DRT(三菱重工)を対象に、装置やベッド等の機器および患者との干渉検知シミュレータを開発している。 照射装置や固定具、治療台、患者等の物体モデルの生成(a.照射装置や固定具等の形状モデルの生成、b.上記記 a.の各機器の形状モデルを、動作を模擬したモデルへ拡張す)については、今年度は、Vero4DRTおよび治療台の機器モデルを作成した。また、患者モデルは3Dスキャナを用いて患者の体表データを3次元距離データとして測定し、生成した表面形状モデルから作成した。シミュレータの処理負荷を軽減し且つ干渉検知に影響が出ない程度の範囲で、デシメーションにより患者モデルのポリゴン数を減らした。各機器の形状や可動域は、カタログや仕様を基に模擬した。Vero4DRTに関して、鉛直軸周りのリング回転 (回転角: -60~60 degree)とガントリ回転 (回転角: -185~185 degree)を実装した。これにより、実環境との整合性を高めることが期待できる。上記の機器および患者モデルを仮想治療室内に配置し、相互干渉の有無は、物理エンジン(PhysX)を用いて計算した。また、患者と機器との距離は、患者モデルの各ポリゴンの頂点とガントリ内側のポリゴンの頂点との距離を計算して求め、長さに応じて色付けした直線で描画した。本シミュレータを用いて、装置の可動回転角の範囲に対し、患者と機器の衝突の有無を表す干渉テーブルを作成する機能を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)照射装置や固定具、治療台および患者等の形状および動作を模擬する物体モデルの生成については、照射装置と治療台について設計情報を入手し、3次元モデルが生成できており、おおむね順調に進展している。 (2)各物体モデル間の相互干渉判定ソフトウェアの開発および治療時の患者目線から見た治療機器の見え方の表示手法の考案については、衝突検知に物理演算ライブラリを使用した相互干渉判定ソフトウェアを開発した。患者視線のアルゴリズムを考案しプロトタイプのソフトウェアを実装し、おおむね順調に進展している。 (3)実治療室に対する干渉判定シミュレーションによる干渉マップの生成については、ガントリ角度、リング角度を10度おきにした簡易干渉マップを作成でき、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
システムの大枠は実装でき、これを実臨床環境に合せるべく、治療装置や治療器具の詳細モデルを開発する。また、衝突検知では膨大な計算時間が必要であることが判明し、計算能力の高い計算機の導入やアルゴリズムの簡略化で回避する。さらに、協力病院にて、実臨床環境との校正や精度検証方法を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
治療器具モデルと患者モデルとの衝突検知を実時間で計算するために、高性能計算機や臨床現場での作業のためのノートパソコンを導入する。また、海外の研究動向を入手し、また、開発システムの有効性を発表すると共にその評価を入手するために、国内外の学会に参加する。
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