研究課題/領域番号 |
24591853
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研究機関 | 京都医療科学大学 |
研究代表者 |
澤田 晃 京都医療科学大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80543446)
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キーワード | 干渉検知 / 高精度放射線治療 / シミュレータ |
研究概要 |
放射線治療装置やベッド等の機器と患者との干渉検知シミュレータの開発において、 1 昨年度前倒しで開始した「3次元モデルの干渉判定ソフトウェア」を改良した。物体モデルの干渉判定と表示部の最適化を行い、CPUへの計算負荷を下げ且つ市販のノートパソコン上でも実時間の衝突検出が可能であることを確認した。 2「物体モデルの3次元可視化ソフトウェアの開発」においては、治療装置やベッドの形状や動きを設計図から読取り、また臨床機を使用した実測を通して精度の高いモデルを作成した。実測において、ベッドの制御装置が衝突検知に影響を与えることが判明し、治療装置開発元と設計CADデータ提供を交渉し入手した。入手データの形式を、開発システムへ取込み可能となるように変換した。また、作成した機器モデルの描画に関してテクスチャマッピング手法を適用し、臨場感のある3次元表示を可能にした。 3 「患者目線表示(patient-eye-view)方法の開発」として、衝突検知シミュレータの視点位置を患者目線位置に設定し、患者の目線から見た装置の変位、回転の描画機能を試作した。 4 次年度の計画である「実治療室環境下における干渉マップの生成と実測値との比較」に向け、協力施設の治療現場において、治療機器間の干渉条件に対する実測とシミュレーション値との精度評価を開始した。実測では光学位置センサを用いた検証系を考案した。本検証を通して、実測の課題が抽出され、次年度はその対策を検討する。予備検証として、数種類の干渉条件下では誤差が10-30 cmであり、3次元モデル間の距離計算アルゴリズムや実機測定方法の改良により、精度向上を図る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.3次元モデルの干渉判定ソフトウェアについては、物体モデル間の干渉判定と表示部の最適化により、干渉判定における計算負荷を下げ、実時間の干渉を検出且つ滑らかな描画が可能となり、順調に進展している。 2.物体モデルの3次元可視化ソフトウェアの開発については、治療装置やベッドの形状や動きの仕様の大部分を取込み、実機との比較から高精度な機器モデルを作成した。また、モデル化が困難な部分は設計CADデータを入手して開発システムへ取込めており、順調に進展している。 3.患者目線表示(patient-eye-view)方法の開発については、シミュレータの視点を患者目線位置に設定し、患者の目線から見た装置の変位、回転の描画機能を試作しており、順調に進展している。 4.次年度計画である、実治療室環境下における干渉マップの生成と実測値との比較に向け、協力施設の治療現場において、治療機器間の干渉条件に対する実測とシミュレーション値との精度評価を開始し、光学位置センサを用いた検証系を考案する等の前倒しが図れた。
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今後の研究の推進方策 |
システムの大部分の機能モジュールが開発を完了し、光学位置センサを用いたシステム検証の予備実験に着手した。今後は、予備検証実験で得た、実治療環境での測定において必要な機能モジュールの開発および実機を用いた実測を行い、精度検証とシステム改良を進め、シミュレータの精度向上を図る。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画していた3次元デジタイザは製造中止となった。開発用ワークステーションは、協力施設保有の計算機で開発進めた結果、現時点での導入によるシステムの移植作業やプログラム保守の負担が大きく、手配を延期している。 3次元デジタイザは協力施設の旧型機を使用する。システムの高速化やシステム検証用の計算機費用、協力施設の実機を使用した精度評価実験の材料費・旅費、また、成果の国内外学会での費用に使用する。
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