研究課題/領域番号 |
24591854
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
上紺屋 憲彦 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (00185985)
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研究分担者 |
冨士原 将之 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (90388827)
高田 康弘 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (20461048)
土井 啓至 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (50529047)
前田 弘彰 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (00388828)
廣田 省三 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20181216)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 放射線障害 / 直腸粘膜障害 / 亜鉛 / 抗凝固剤 |
研究概要 |
本年度の研究では実験動物を使った基礎研究と、臨床研究として抗凝固剤使用患者の前立腺癌放射線治療における直腸粘膜障害の評価を行った。 1. 基礎研究では、抗凝固剤を投与しないラットにおける晩発性直腸粘膜障害の評価を病理組織で再検討した。再検討では、前回科研費研究時のラット病理摘出標本も含め、特に放射線照射後の閉塞性血管炎の評価を、血管の形態測定と、炎症細胞により評価、組織評価基準を明確にした。今回の組織評価基準は、今後の動物実験系全てに利用・応用可能な方法・基準である。実験動物への抗凝固剤投与は上記組織評価基準決定を重視し、次年度に行う。 2. 臨床研究では、既存前立腺癌放射線治療患者の直腸粘膜障害を、抗凝固剤使用の有無、照射データで解析した。照射データは3次元放射線治療のDVH(dose volume histogram)、障害の程度はRTOG評価にて行なった。さらに放射線治療前のGleason score 、PSAの値によりrisk分類を行っている。現時点では抗凝固剤使用の有無につき、放射線治療開始時期までの抗凝固剤使用期間の要因が有意であると思われるが、様々な患者背景による抗凝固剤投与の中断、ないし中止の評価をする必要があると思われる。 またDVH上での被照射線量が近似していても、通常の三次元照射(3D-CRT)と強度変調放射線治療(IMRT)症例では周辺線量に大きな差があり、照射方法による要因の重み付けも検討項目となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基礎研究において実験動物に抗凝固剤投与・亜鉛製剤投与・放射線照射を行う予定であったが、放射線照射後の閉塞性血管炎の評価基準を明確化する必要があり、亜鉛製剤投与・放射線照射群での病理組織標本を全て再検討し、血管の形態測定と、炎症細胞により評価、組織評価基準を明確にした。臨床研究では既存前立腺癌放射線治療患者の直腸粘膜障害の患者背景および、放射線照射データの取得が完了。
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今後の研究の推進方策 |
基礎研究は、ラットによる動物実験放射線直腸炎評価モデルに抗凝固剤としてアスピリンを使用、放射線照射時および放射線照射後障害発生時の2つの時系列でそれぞれ投与し、直腸粘膜への作用を病理組織学的変化、分子生化学的変化で抗凝固剤の粘膜障害への影響を評価する。同時に亜鉛化合物を重複投与し直腸粘膜の変化を比較検討する。 臨床研究は、前立腺癌放射線治療後に直腸粘膜障害を認めた抗凝固療法併用患者に対し抗凝固剤の停止・続行、亜鉛製剤の投与により直腸粘膜の病理組織学的変化・肉眼的変化を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
基礎研究に変更が生じたため、24年度予定の抗凝固剤投与の動物実験を25年度開始。そのため24年度購入しなかった設備備品(デジタルカメラを含む鼻咽喉ファイバースコープ撮影システム一式など)および消耗品(Wistar ラット、マルチサイトカイン測定キット一式など)を25年度に購入予定。臨床研究では変更は無く、25年度設備品として三次元放射線治療計画データ解析システム一式の購入を予定。
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