研究課題/領域番号 |
24591858
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 独立行政法人放射線医学総合研究所 |
研究代表者 |
崔 星 独立行政法人放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター, 主任研究員 (20342735)
|
研究分担者 |
上條 岳彦 千葉県がんセンター(研究所), 発がん制御部, その他 (90262708)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 癌幹細胞 / 重粒子 |
研究概要 |
ヒト肝癌由来HepG2、Huh7細胞を用い、in vitro 及びin vivoにて癌幹細胞を同定・分離し、これら癌幹細胞に対して、炭素線(290, 50keV/um, 6-cm SOBP)或いはX線照射前後の細胞生存率、コロニー形成能、spheroid形成能、DNA損傷の違いを調べ、またSCIDマウスに移植し、腫瘍形成能、移植腫瘍に対する増殖抑制や治癒率の違いについて比較検討した。上記各種癌細胞において、炭素線照射に比べX線照射では程度の違いはあるもののCD133、 CD44、 ESA等癌幹細胞マーカー陽性細胞の割合や蛋白発現がより顕著に増加させることが認められた。肝癌細胞ではCD133+/CD90+がそれぞれのマーカー陰性の細胞に比べ有意にcolony形成数が多く、spheroid形成能や動物移植腫瘍形成能が高いことが認められた。CD133+/CD90+、CD44+/ESA+細胞は、X 線或いは炭素線照射に対しともに抵抗性を示すが、炭素線はX線照射に比べより強い細胞殺傷能力が認められ、またより強い腫瘍増殖抑制や高い治癒率が認められた。そして、癌幹細胞マーカー陽性細胞に対して炭素線はX線照射に比べより多く、かつサイズの大きいDNA二本鎖切断損傷マーカーであるgammaH2AX fociが形成され、修復しにくい複雑なDNA損傷を与えていることが確認された。以上の結果から、炭素線は放射線抵抗性や抗癌剤耐性を示す癌幹細胞を有効的に殺傷することが示唆され、今後より選択的に癌幹細胞をターゲットとした新規重粒子線治療法の開発が期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
実験手技の確立により、当初の計画以上に進展しており、膵臓がん幹細胞に対する重粒子影響については、初年度で 原著論文1編を放射線腫瘍専門誌Radiotherapy and Oncology1に掲載している。
|
今後の研究の推進方策 |
さらに新しい実験手技の取り込みによって、予想以上の成果をあげる事を期待している。
|
次年度の研究費の使用計画 |
QIAGEN社のRT PCR ARRAYシステムを利用する予定である。
|