研究課題
悪性中皮腫は難治性腫瘍であることが良く知られている。放射線医学総合研究所にある重粒子照射装置の炭素線は様々なガン治療に対して優れた成績が上がっている。去年、一種類の悪性中皮腫細胞をX線や炭素線照射後、綱羅的MiRNAプロファイリング解析を行った結果、重粒子線照射された中皮腫細胞についてmiRNAの発現はX線と異なることが示唆された。今年度、また新たなヒト由来である二種類の中皮腫細胞をX線と高LET炭素線照射し、同じく綱羅的MiRNAプロファイリング解析を行った。高LET細胞致死メカニズムをmiRNA発現レベルで試みた。二種類の悪性中皮腫細胞を2Gy X線や高LET炭素線で照射し、照射後細胞をサブカルチャーして24時間後に細胞を収集し、miRNAを含むトータルRNAを抽出した。抽出したRNAはnanodropで吸光度を測定し、RNA分解度、品質チェックなどについてAgilent 2100 Bioanalyzerを用いて検定し、miCURY LNATM microRNA Array kit を用い、一色法でmicroRNA Arrayの解析を行った。二種類の悪性中皮腫細胞の中にあるH2052細胞のmiRNA アレーのfold changeについてX線と比較し、up regulation のmiRNAは25個、 down regulationのmiRNAは8個あった。一方もう一種類の中皮腫細胞H2452についてup regulation のmiRNAは14個、down regulationのmiRNAは22個であった。二種類の悪性中皮腫細胞ともに変動したmiRNAは16個あることが分かった。しかしup regulation とdown regulationのRNAは2種類の細胞の中で真反対であった。この結果により、同じ中皮腫細胞でも炭素線照射後異なる反応が示唆された。今現在変動あるmiRNA機能についてmiRNA mimicとmiRNA inhibitorを使って遺伝子機能解析を行っている。
3: やや遅れている
重粒子線は放射線医学総合研究所の重粒子線がん治療装置(HIMAC)を使用でき、重粒子線の対照実験は同研究所のX線照射装置を利用する事が出来る。HIMAC利用に関しては、既にHIMAC共同研究課題が採択されており、マシンタイム配分を受ける事が出来たが、去年細胞培養に使った血清について問題があることが分かり、急遽に血清を変えないといけないので、研究はやや遅れている。
二年間得られたmiRNA プロファィリングの結果を基にして、集中して実験を行う。具体的にmiRNAの機能を解析するのに、miRNA mimic,miRNA inhibitorを細胞に導入し、細胞増殖、致死、およびウェスタンでタンパク質発現などを行う。
前年度使用した血清に問題あることが分かった。一時的に実験を中断した、そのため一部の実験ができなかった。残した科研費は去年できなかった実験を使う予定である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
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