研究課題
基盤研究(C)
本研究課題は、”がん幹細胞の放射線応答を指標とした至適な放射線治療効果増強法を目指した基礎的研究”であるが、本年度はin vitroでの研究に加えて頭頸部癌に対する放射線治療症例の臨床材料を用いて、がん幹細胞の表面マーカー解析とそれに関連する分子および遺伝子関連の発現マーカー解析を行った。現在も発現解析を継続している。これらの結果と、対象症例の治療成績や再発形式との相関や関連を解析して、放射線治療の感受性や反応性とがん幹細胞ならびに関連する遺伝子や分子マーカー発現が治療結果に与える影響について明らかにする。来年度も今年度の研究を継続して、対象症例の拡大、対象疾患の拡張などをして、がん幹細胞マーカーが放射線応答の指標となり得るか、またそのような場合にはその機序はどのようなものであるかを明らかにしていく予定である。
2: おおむね順調に進展している
研究の初年度であるが、今年度は臨床材料の適切な抽出と発現解析の準備からその開始を目標としていた。すでに研究のIRBでの承認と発現解析がスタートしており、当初の予定はおおむね達成できていると判断している。
がん幹細胞と非がん幹細胞の放射線感受性、放射線応答の相違の検討について、in vitroおよびin vivoならびに臨床材料を用いて明らかにしていく。これらが単回照射および分割照射に対する放射線感受性および反応性がどのように修飾されるかを解析する。1. ここまでの研究で得られた結果から、CD133陽性およびCD133陰性細胞の放射線応答の中心分子を同定する。これらの標的分子に対するsiRNAを作成し、導入により標的分子の発現阻害を行う。また、当該分子に対する特異的な阻害剤や活性化阻害薬が使用可能な場合には、薬剤による阻害も行う。siRNA導入や分子の特異的な活性化阻害で単回照射ならびに分割照射に対するCD133陽性およびCD133陰性細胞の放射線応答がどのように変化するかについて検討する。これにより、標的分子ががん幹細胞および非がん幹細胞の放射線応答に果たしている役割を明らかにする。2. ②と同様に分割間隔や分割線量を書いた場合についても、両細胞間の相違についても検討する。#研究の進捗により、適宜研究を前倒しにして行っていく。
n vitroおよびin vivoならびに臨床材料解析に必要な物品購入および研究進捗に必要な関連消耗品の購入に使用していく予定である。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Jpn J Clin Oncol
巻: 43(5) ページ: 476-82
Anticancer Res
巻: 33(2) ページ: 567-73