研究課題
がん幹細胞が治療の反応性や治癒可能性に密接に関与していることが指摘され、放射線感受性に関しても非がん幹細胞と比較してがん幹細胞が放射線抵抗性であることを示唆する報告が相次いである。その機序として、放射線によるDNA損傷に対する高い修復能力、増殖能力の維持や再酸素化などのがん幹細胞の放射線応答の特徴に起因するものであることが分かってきているが、その詳細や臨床的な意義については、十分に解明されているとは言えない。そこで、本研究は、がん幹細胞の放射線応答を指標とした至適でかつ効率的な放射線治療効果増強法の確立を主目的にして立案された。平成24年度および25年度は培養細胞を用いた基礎的な研究を実施し、それ以降は強度変調放射線治療で根治照射を施行した中咽頭癌症例の予後とHPV感染の指標であるp16発現とがん幹細胞マーカーであるCD44の発現との相関について検討をした。対象58例の3年全生存、無増悪生存および局所領域制御は73%、64%および76%,であり、CD44陰性群の無増悪および局所領域制御率は86%、 93%,であり、CD44陽性の57% および70%に比較して有意の良好であった。p16とCD44の統合解析ではCD44陽性/p16陰性の予後が最も不良であった。これらの結果は、がん幹細胞の腫瘍内の多寡が放射線治療の効果や予後予測に重要であることを示すもので、重要な予後因子およびがん細胞の放射線応答で大きな役割を果たしていることを示唆するものと考えている
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 3件)
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