研究課題/領域番号 |
24591862
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石井 誠一 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60221066)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 外科総論 / 外科医減少 |
研究概要 |
本研究では医学生の外科医志望に関する因子を卒前教育との関わりから分析する。研究方法として教育学・社会学の研究法である質的研究法を用い、全国調査と因子分析を行う。H24年度は研究代表が所属する医学部において学内調査を行うとともに全国調査の準備を進めた。 【外科後期研修医を対象とする調査】外科医師の減少に関する要因の質的研究を行うため、医学科学生が外科系と専攻するプラス・マイナスの両要因につき文献を収集し、これを元に調査項目を策定して全国調査の原案を作製した。全国調査の対象・実施方法等について連携研究者と討議し、大枠を定めた。関東、四国等の卒後研修医教育病院で外科研修医を指導する外科医に研究の趣旨を説明して、研究に関する提案を得るとともに協力の同意を得た。また、アジア諸国の医学教育関係者および外科医と連絡を取り、外科を希望する医学生の増減と対応策等に関する情報を得た。その結果、韓国、台湾においては本邦同様あるいはそれ以上に外科医希望者の減少が著しいことが判明した。 【医学科学生対象の調査】研究代表者の所属する医学部において医学科5年次および6年次学生を対象に、卒業後の専攻希望に関する調査を行った。6年次の時点で約15%の学生が将来の専門領域として外科(消化器・一般、乳腺、呼吸器、心臓血管、小児のいずれか)を志望していることが確認された。また、医学科1年生を対象に将来の進路・専攻に関する調査を行い、自由回答について言語処理ソフトウエアによる傾向分析を行った。その結果、「生活・暮らしの安定」、「収入・経済的・年収の安定」等のライフスタイルを重視する傾向は医学部入学時から見られることが明らかになった 【研究成果と発表】上記の分析結果の一部をH25年7月開催の第45回日本医学教育学会、および同年8月開催のヨーロッパ医学教育学会で発表することとして、H25年3月に登録した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
【外科後期研修医を対象とする調査】および【医学科学生対象の調査】において、学内のデータ収集と分析は計画以上に進んだ。一方、全国の外科研修医と医学部学生を対象とする調査は基本案を作製したが実施には到っていない。その主な理由は、分析対象とした学内データ、特に医学科1年生の自由記載文(過去3年間)が総文字数約20万字と膨大であり、分析に多大な時間を要したことにある。手書きコメントであるため分析可能とするためのタイプ入力に長時間を要した。この分析と同時に全国調査の原案策定を進め、対象とする教育病院、医学部の選定を行ったが、調査実施には到らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
【外科後期研修医を対象および医学科6年生対象の全国調査】 (1)調査内容確定:いずれも予備調査としてH25年7月までに4~5カ所の外科医教育機関に協力を依頼し、回答、意見、提案を得て、調査原案を改定し最終版を確定する。(2)調査実施:H25年9月までに全国30カ所程度の外科医教育機関(主として大学病院)ならびに医学部を調査趣意書および調査表を送付し、それぞれ15名程度の外科後期研修医(のべ450名程度)と60名程度の医学科6年生(のべ2,000名程度)から回答を得る。(3)調査集計・分析:得られた回答を入力・集計し、自由回答については言語処理ソフトウエアによる傾向分析を行う。 【外科後期研修医対象および医学科6年生対象のfocus group interview】(1)インタビューのデザイン策定:全国調査の結果を元にH25年10月を目処として研修医の外科専攻の動機、ならびに、医学科6年生の外科系志望と学部教育との関連に関するインタビューを設計する。(2)インタビュー実施:全国調査で協力を得た外科医教育機関から5機関程度をpurposive samplingで選考し、それぞれ4~5名の外科後期研修医にインタビューを依頼する。各医療機関に研究代表者が出向し、60分程度のインタビューを行う。(3)インタビュー分析:録音したインタビューの音声を逐語転記し、研究代表者および連携研究者が独立して内容を分析して主題(theme)の確定を行う。 【研究の倫理申請等】事前に医学部学生教育および外科研修病院の責任者に調査研究の目的を説明し、協力の承諾を得る。調査対象者には文書にて研究目的と個人情報保護を厳守する旨の説明を行う。また、回答をもって承諾を得たものとする旨を併記する。必要に応じて研究の倫理申請を行う。 【研究成果の発表】研究成果について外科関連および医学教育関連の学会等で発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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