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2012 年度 実施状況報告書

伸展刺激によるがん転移ー浸潤制御機構の解明:TRPV2のストレッチシグナル伝達

研究課題

研究課題/領域番号 24591865
研究種目

基盤研究(C)

研究機関群馬大学

研究代表者

長澤 雅裕  群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (50343083)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードTRPV2 / カルシウムチャネル
研究概要

1)細胞膜直下の細胞内カルシウム動態を測定する高感度カルシウムセンサー・プローブ、細胞接着・細胞伸展を可視化するプローブを作製した。これらを用いて、ヒト癌細胞肉腫細胞におけるがん細胞伸展による細胞内カルシウムの時間的・空間的に細胞内カルシウムの変動を徐々に解明しつつある。ガラスキャピラリーを用いて細胞局所に物理的刺激を付加するとそこからカルシウムウェーブが生じることやその部位にTRPV2チャネル分子がPI-3キナーゼ依存性にトランスロケーションすることを明らかにした。さらにTRPV2チャネルをノックダウンするとカルシウムウェーブが消失することより細胞伸展におけるカルシウム制御機構にTRPV2が主要な働きを担っているものと考えられる。さらに、TRPV2チャネルのPI-3キナーゼの阻害剤で細胞表面へのトランスロケーションを止め、ダイナミンミュータントでエンドサイトーシスを止めて機械的刺激を付加しても、細胞内カルシウムの上昇を認めないことがわかった。これは、従来考えられていたようなチャネル分子が機械刺激に伴い、チャネル分子自体の開閉が機械的な刺激で直接に制御されるのではなく、チャネル分子のトランスロケーション機構が機械刺激によるカルシウム上昇に重要であることを示唆する新規の知見であると考えられる。2)ノックアウト・マウスの作製:Cre-LoxPシステムを利用したTRPV2 flox/flox マウスとCMV-Creマウスを交配させ、全身でTRPV2がノックアウトされたマウスを作製した。ノックアウトマウスは致死でなく、生存して、大きな表現的な異常を認めていない。さらにノックアウトマウス同士を交配して個体数を増やして実験・検討を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

細胞膜直下の細胞内カルシウム動態を測定する高感度カルシウムセンサー・プローブを作製して、機械刺激による新規の細胞内カルシウムウェーブの制御機構があることがわかった。

今後の研究の推進方策

1)伸展センサーの作製: ビンキュリンは、細胞接着の主要分子であり、アクチン、テイリン、カテニン、PIP2などの分子と相互作用して、細胞運動・接着変化に伴い立体変化を起こす。そこで、ビンキュリン分子に蛍光ラベルして細胞運動・接着によるビンキュリン立体構造変化を可視化するプローブを作製する (ビンキュリン・コンフォメーションプローブ)。さらに、伸展を感受する特殊なクモの糸のたんぱく構造をビンキュリンに挿入した細胞伸展プローブも作製する。ビンキュリン・コンフォメーションプローブとビンキュリン・テンションセンサープローブを用い、細胞にかかる伸展を時間的・空間的に可視化することを可能にする。2)細胞伸展カルシウムチャネル阻害薬を利用してこのカルシウムシグナル産生機構の分子メカニズム、とくにTRPV2の動態と関連させ、伸展刺激によるTRPV2チャネルの制御機構、それらとカルシウムシグナル産生の動態を総合的に解析し、TRPV2によるストレッチシグナル制御の全容を明らかにする。3)ノックアウト・マウスを用いたin vivoでの作製・検討する。3)TRPV2ノックアウトマウスの解析の継続をする。

次年度の研究費の使用計画

1)細胞培養、遺伝子工学キット購入、プローブ作製のためのクローン、ベクター購入、抗体の購入等
2)顕微鏡等機械の消耗品の購入費用
3)TRPV2のノックアウト・マウス作製・維持費

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] がん細胞に発現するTRPV2:機械刺激に対する応答2012

    • 著者名/発表者名
      長澤 雅裕 小島 至
    • 学会等名
      第8回TRPチャネル研究会
    • 発表場所
      岡崎カンファレンスセンター
    • 年月日
      20120614-20120615

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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