研究課題
本研究を立案していた段階より現時点に至るまで予想に反して脳死下提供は伸び悩み心停止下臓器提供は昨年度の段階で4割減じるという事態が昨年顕在化した。研究期間を通じてこの傾向の大きな改善はなく、平成25年中の全国脳死下提供数47例、心停止下提供数37例の計84例という数字は、平成26年度に至って脳死下提供数50例、心停止下提供数27例の計77例と更に減少した。研究の主たる対象である肝移植では改正法案の施行に伴い大きな期待が寄せられていたものの実症例の増加は上記の全体の数字から明らかなように、微増に留まった。平成22~26年の間の年間脳死肝移植数(肝腎同時含)は、それぞれ30例、41例、41例、39例、45例であった。日本臓器移植ネットワークの待機リストには常時400人程度の待機患者がリストアップされている事態に変わりはなく、欧米諸国はもとより隣国韓国に大きく後塵を拝している状況に変わりはない。本研究ではC型肝炎や肝細胞癌を背景に有する肝硬変を含め肝移植の適応について研究を進め、脳死肝移植と生体肝移植の比較解析により生体肝移植を選択すべきか脳死肝移植を待つべきか客観的な尺度を用いて最適な選択肢を示すことのできる指針を提案すること目標としていた。現状についてはC型肝炎に対する新たな抗ウイルス治療の経験や肝細胞癌に対する拡大適応について等を自施設の経験も加え、詳細に検討し発表した。しかしながら現状では改正以前と同様、本質的に初回移植では劇症肝炎以外の症例に脳死下提供臓器が得られる機会は小さく、緊急度の高い再移植症例と併せて考慮した場合、本邦で大きな課題であるC型肝炎や肝細胞癌を背景に有する肝硬変等、慢性に経過する疾患では未だ移植に至る可能性は極めて小さいことに変化はない。現状の提供数にて課題の解析の継続は困難である。今後の発展には、まず、脳死下臓器提供を推進する研究が必要である。
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