研究課題/領域番号 |
24591870
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
落合 高徳 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (20447486)
|
研究分担者 |
井上 芳徳 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (70280964)
斉藤 愛記 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00516312)
山岡 昇司 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90263160)
田中 真二 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30253420)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | NF-κB |
研究概要 |
転写因子Nuclear factor-κB(NF-κB)の活性化抑制に基づいた(A)抗癌作用と(B)抗炎症作用の臨床応用を主題とし、(A)においては新規NF-κB阻害薬IMD-0354にてNF-κB活性を抑制することにより、抗癌剤としての臨床応用を目指し、(B)においてはIMD-0354にて炎症性サイトカインを抑制することにより、肝胆膵手術において最も手術侵襲の大きい血行再建手術において手術侵襲を軽減化することを目的とするものである。 (A)ヒト膵癌細胞株に対してIMD-0354とGemcitabineを用い、腫瘍増殖抑制効果について検討した。 1.IMD-0354、Gemcitabineの各々と両剤を用い、セルカウント、NF-κBレポーターアッセイにて検証した。また、NF-κBに関連した標的について定量PCR法を行った。セルカウントでは、IMD-0354、Gemcitabine共に、濃度、時間依存性に細胞増殖抑制効果を認め、両剤併用においてより細胞増殖抑制効果を認めた。レポーターアッセイでは、IMD-0354ではNF-κB活性依存的転写活性が抑制されたのに対し、GemcitabineではNF-κB活性が増強された。定量PCRでは、ICAM1、survivin、cyclinD1の各々について、IMD-0354では減少するのに対して、Gemcitabineでは増加した。 2.ヒト膵癌細胞株皮下腫瘍マウスモデルを用いて、in vivoの腫瘍抑制効果を判定中である。 (B)下大静脈切除再建時に伴う循環動態の変化をブタを用いたモデルにより測定、検討した。 1.下大静脈、門脈、大動脈、肝動脈、上腸間膜動脈の血行遮断を、単独、または組み合わせて行い、動脈内に留置した圧測定カテーテル、末梢血管超音波診断(IVUS)、体外超音波、レーザードップラーを用い、循環動態の変化を測定した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記(A)については、ヒト膵癌細胞株のみならず、ヒト肝細胞癌細胞株、ヒト胆管癌細胞株についても研究を行う予定であるが、現時点ではヒト膵癌細胞株に限り研究が進行している。また、(B)についてはブタを用いた実験モデルを確立しつつある状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
(A)ヒト肝癌細胞株に対してIMD-0354の抗腫瘍効果を確認後、5-FUとの併用療法を検証、ヒト胆管癌細胞株に対してもヒト膵癌細胞株、ヒト管癌細胞株と同様に、IMD-0354の腫瘍増殖抑制効果について確認後、Gemcitabineとの併用療法による検証を行う。 (B)ブタにおける血行再建手術時の手術侵襲を、各手術前後に血液を採取、調節性T細胞、VEGF、IL-6、IL-1、TNF-αなどのサイトカイン、免疫能、主要臓器におけるp65、p50、p52などのNF-κBファミリー、さらにNF-κBシグナル伝達と関連が深い活性酸素(ROS)の計測、評価を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度においては高額な機器を購入する予定はなく、実験に必要な器具、試薬等、消耗品の購入に使用する予定である。
|