研究課題/領域番号 |
24591870
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
落合 高徳 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (20447486)
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研究分担者 |
井上 芳徳 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (70280964)
斉藤 愛記 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00516312)
山岡 昇司 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90263160)
田中 真二 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30253420)
田辺 稔 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50197513)
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キーワード | NF-κB |
研究概要 |
転写因子Nuclear factor-κB(NF-κB)の活性化抑制に基づいた(A)抗癌作用と(B)抗炎症作用の臨床応用を主題とし、(A)においては新規NF-κB標的薬IMD-0354にてNF-κB活性を抑制、抗癌作用を確認、(B)においてはIMD-0354にて炎症性サイトカインを抑制することにより、手術侵襲の軽減化を目的とするものである。 (A)ヒト膵癌細胞株に対してIMD-0354とGemcitabineを用い、腫瘍増殖抑制効果について検討した。1.IMD-0354、Gemcitabineの単剤、両剤併用にて、セルカウントでは、IMD-0354、Gemcitabine共に、濃度、時間依存性に細胞増殖抑制効果を認め、併用においてより細胞増殖抑制効果を認めた。NF-κBレポーターアッセイでは、IMD-0354ではNF-κB活性依存的転写活性が抑制されたのに対し、GemcitabineではNF-κB活性が増強された。定量PCRでは、ICAM1、survivin、cyclinD1の各々について、IMD-0354では減少するのに対して、Gemcitabineでは増加することが確認された。2.ヒト膵癌細胞株皮下腫瘍マウスモデルを作製、IMD-0354、Gemcitabineの単剤での腫瘍抑制効果を認め、さらに両剤併用により抑制効果が増強されることを確認した。 (B)下大静脈切除再建時に伴う循環動態の変化をブタを用いたモデルにより測定、検討した。1.下大静脈、大動脈、肝動脈、上腸間膜動脈の血行遮断を行い、動脈内に留置した圧測定カテーテル、末梢血管超音波診断(IVUS)、体外超音波、レーザードップラーを用い、循環動態の変化を測定した。2.下大静脈遮断時の血圧低下に対して、大動脈遮断単独では循環動態が不安定であったが、上腸間膜動脈遮断を併施することにより循環動態の安定化が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
A)については、ヒト膵癌細胞株のみならず、ヒト肝細胞癌細胞株、ヒト胆管癌細胞株についても研究を行う予定であるが、現時点ではヒト膵癌細胞株に限り研究が進行している。また、(B)については、ブタを用いた実験モデルを確立、今後NF-κBによる手術侵襲における炎症反応の抑制を行う状況である。
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今後の研究の推進方策 |
(A)5-FUとIMD-0354の併用療法を検証、ヒト胆管癌細胞株に対してもヒト膵癌細胞株、と同様に、IMD-0354の腫瘍増殖抑制効果について確認後、Gemcitabineとの併用療法による検証を行う。 (B)ブタにおける血行再建手術時の手術侵襲を、各手術前後に血液を採取、調節性T細胞、VEGF、IL-6、IL-1、TNF-などのサイトカイン、免疫能、主要臓器におけるp65、p50、p52などのNF-Bファミリー、さらにNF-Bシグナル伝達と関連が深い活性酸素(ROS)の計測、評価を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度には時間的な兼ね合いで、購入すべき抗体を使用する実験まで到達しなかったため。 平成26年度に前年度分も含め、抗体などの購入に使用する予定。
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