研究課題/領域番号 |
24591873
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
杉本 昌之 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (00447814)
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研究分担者 |
古森 公浩 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40225587)
柴田 玲 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (70343689)
児玉 章朗 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (10528748)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | PPAR / 内膜肥厚 / 静脈グラフト |
研究概要 |
閉塞性動脈硬化症 (ASO) 症例は、高齢化や食生活の欧米化により、増加の一途をたどっている。手術手技、治療用カテーテル、人工血管材質そして薬剤の進歩により、血管内治療(経皮的血管形成・ステント留置術)や外科的バイパス手術の早期治療成績は、著しく向上しているものの、血管壁内膜肥厚に起因する術後の再狭窄は、遠隔成績向上の障害となっている。本研究は、血行再建術後に生じる血管内膜肥厚に対する有効な制御手法を開発することであり、長期的には臨床的に問題となる静脈グラフト晩期閉塞、血管内治療(経皮的血管形成・ステント留置術)後の再狭窄の予防・長期開存成績の向上へと寄与することを最終目標として設定している。我々は先に核内レセプターであるperoxisome-proliferator-activated receptor (PPAR)のうちPPARγ agonistのpioglitazoneが、ウサギ静脈グラフトモデルにおいて内膜肥厚を有意に抑制することを示した。本研究ではPPARsの中でも血管壁に強く発現するPPARαのagonistであるfibrateの内膜肥厚抑制効果を各種動物モデルで比較する。同時に分子生物学的手法を用いて、内膜肥厚に関連する各種分子( IL-6, TNFα,NF-kβ,VCAM-1, COX2, eNOSなど )の血管壁での経時的活性・発現レベルへの効果の検証を行うことを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
モデルウサギの作成技術について慣熟するとともに、PPAR-α agonistの経口投与が及ぼす全身的影響(脂質プロファイルなど)を評価し,至適投与量・投与法の検討を行っている。また、ウサギから採取した異常血流静脈グラフトを採取し、標本を作製している。モデルウサギでの実験系の確立・慣熟に時間を要しており、ステント再狭窄抑制効果に関する検討については未だ開始されていない。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はウサギモデルの作成、薬剤投与といった実験系をまず確立した。今後は実験系の更なる安定運用に引き続き努めることで更に検体数を増やすともに、免疫組織学的手法を用いた静脈グラフト内の内膜肥厚抑制効果を検討に着手する。 また、培養細胞を用いたin vitroでのPPAR-α agonistの作用検証を目的とした実験系の立ち上げを行う。培養細胞系としてはTHP-1(単球細胞)、HUVEC(血管内皮細胞)、HASMC(大動脈平滑筋細胞)を用いる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度に引き続き、実験のための動物(日本白色種ウサギ)の購入、実験・動物手術に必要な試薬・薬剤の購入・施設使用料、免疫組織染色に必要な抗体・試薬の購入、さらに研究結果を学会発表のするための旅費が必要である。来年度以降、新たに培養細胞を用いた実験系を立ち上げるに際しては、細胞・培養試薬の購入費、培養のためのチャンバーの購入・維持費用が必要となる。
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