研究課題
HBV関連肝疾患に対する生体肝移植後のB型肝炎再発予防は,術後HB免疫グロブリン(HBIG)と核酸アナログ製剤の投与により一定のコンセンサスが得られ,HBIGの安全性とその医療費の高さに問題が残り,HBワクチンによるHBIG離脱が最終目的である。2002年3月~2015年3月までに肝移植を受けた初回患者132例中,B型関連疾患16例中,ワクチン接種を開始した14例を対象とし、HBIG離脱群,非理脱群に分け検討した。離脱群のT細胞反応性の検索をHBワクチン導入例の末梢血よりPBMCを分離し,HBs抗原に対するTh1反応について,細胞増殖,TNF-α,IFN-γ産生により検討した。結果として現在生存中の13例では全例で血中HBsAg(-),HBV-DNA(-)でありB型肝炎の再発は認めていない。HBIG離脱群9例,HBIG非離脱群5例であった。HBIG離脱群の内,ワクチンからも離脱できたのが6例であった。2群間比較では,年齢・性・原疾患・ワクチン接種回数・免疫抑制剤trough値に有意差はなく,ワクチン接種開始からの期間のみ離脱例で全例50ヵ月以上であった (p=0.009)。HBIG離脱例のHBs抗原に対するT細胞の反応性は,コントロールと比較しstimulation indexが3.23±1.36と有意に増加しTNF-aおよびIFN-γも高値を示した。この結果、HBIG離脱例では,免疫抑制下でもHBワクチンに対するT細胞の反応が明らかにされ,HBIGからの離脱のためには、50ヵ月以上の粘り強い長期継続HBワクチン接種が重要であるという新しい治験がえられ、今年国内外(日本肝移植研究会・アジア移植学会)で発表予定である。C型に関しては、C型関連肝移植患者におけるPEG-IFN/RBV治療選択のテーラーメード化の検討として、まずこれまで当科で行ったC型肝硬変および肝癌患者のgenotype, ウィルス量、コア領域やNS5A領域のアミノ酸変異およびIL28遺伝子多型についてレトロスペクテブに検討しSVRとの関係を明らかにし、これまで国内外で発表してきた。
3: やや遅れている
B型関連疾患の肝移植に対する、ワクチン療法は順調に進んでおり、これまでの研究で、長期のワクチン接種が重要であることが判明し、発表予定であるが、C型関連疾患の肝移植に関しては、テラプレビル・シメプレビルの発売に伴い、肝移植を必要とする患者さんが減ってきており、これに本年経口剤も発売され、SVR率があがっており、肝移植症例が減ってきているのが現状です。
B型肝硬変、肝癌肝移植患者における術後B型ワクチンの導入を行った患者の末梢血よりPBMCを分離し、その中からT-cellを単離してHBワクチンに対する反応を確認。最終的にはHBワクチンに反応するT-cellを単離しIL-2で増殖させて患者に戻し、ワクチンに対する能動免疫の確立を獲得する。C型関連肝移植患者におけるPEG-IFN/RBV治療選択のテーラーメード化の検討として、まずこれまで当科で行ったC型肝硬変および肝癌患者のgenotype, ウィルス量、コア領域やNS5A領域のアミノ酸変異およびIL28遺伝子多型についてレトロスペクテブに検討しSVRとの関係を明らかにした後、プロスペクティブにPEG-IFN/RBV治療の選択を行い、SVR率の向上を目指す。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
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巻: 46 ページ: 804-810
doi: 10.1016
Mol Med Rep.
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doi: 10.3892