研究課題/領域番号 |
24591877
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
八木 真太郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (60447969)
|
研究分担者 |
小川 晃平 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10359789)
小倉 靖弘 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院准教授 (20335251)
海道 利実 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80314194)
上本 伸二 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40252449)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 肝移植 / 境界グラフト / 過少グラフト / 心停止ドナー / 一酸化窒素 |
研究概要 |
大動物(ブタ)を用いた境界グラフト肝移植モデルとして、全肝の25%の過少グラフトモデルを作成した。研究当初は肝移植手術中の死亡例が認められたが、手技の向上・安定により肝移植手術の完遂が可能となった。 本研究では臓器保存の改良による境界グラフトのviabilityの改善を目的とするため、単純冷却保存をコントロール群とし、一酸化窒素ガスを用いたVSOP+NO保存群を治療介入群とした。現在までにコントロール群:8例、VSOP+NO保存群:1例を施行した。 コントロール群においては、門脈再灌流後の門脈圧の上昇、術後の肝細胞逸脱酵素(GOT/GPT)の上昇、類洞内皮細胞障害を示す血清ヒアルロン酸の上昇、血液凝固能の低下、腎機能障害が認められ、全例が2日以内に死亡した。剖検では過少グラフトに伴う門脈圧亢進状態によると考えられる消化管出血や小腸の鬱血、腹水の所見が認められ、門脈血栓や腹腔内出血などの明らかな手術合併症は認められなかった。病理組織学的には門脈域の出血および中心静脈周囲の肝細胞の空胞化や壊死が認められ、高度な虚血再灌流傷害による所見と考えられた。全例で過小グラフトによるグラフト機能不全が死亡原因と診断された。 VSOP+NO保存群の1例では、門脈再灌流後の門脈圧は低かったが、2日後に死亡した。術後の肝逸脱酵素の上昇は認められたが、病理組織学的には門脈域の出血が目立たなかった。追加検討として炎症性サイトカインなどを計測中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究には大動物(ブタ)を用いた肝移植の安定した手術手技が求められ、その習得に一定期間を費やしたため。
|
今後の研究の推進方策 |
更に一酸化窒素ガスを用いたVSOP+NO保存群の肝移植実験をすすめ、生存率や門脈循環動態、虚血再灌流傷害の程度を血液学的・組織学的に評価する。 VSOP+NO保存方法に関しては、小動物(ラット)実験での保存条件をそのまま大動物実験に移行するだけでなく、投与ガスの潅流圧などを調整して最適な保存条件を模索する予定である。 そして末梢血中のNO濃度(Griss reaction)、血清中のAST、ALT、ビリルビン、ヒアルロン酸、Lactate、Inter-Cellular Adhesion Molecule 1(ICAM-1), Vascular Cell Adhesion Molecule-1 (VCAM-1) の発現を測定し、肝臓組織中のIL-6, TNFα, ICAM-1, VCAM-1, VEGF, HGFをELISA法にて、さらにそれらのm-RNA発現をreal time PCRにて測定する。肝組織中のNO濃度をGriss reactionにて測定し、肝組織のviabilityを評価する為にATP活性を測定する。類洞内皮細胞障害の有無・程度を免疫染色で評価し、肝再生の指標としてKi-67染色も行い、虚血再灌流障害および肝再生について評価する予定である。また、NO代謝物で毒性の強い活性窒素種(ペルオキシニトライト)の検討も行う.
|
次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
|