研究課題/領域番号 |
24591877
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
八木 真太郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (60447969)
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研究分担者 |
小川 晃平 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10359789)
小倉 靖弘 名古屋大学, 医学部附属病院, 准教授 (20335251)
海道 利実 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80314194)
上本 伸二 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40252449)
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キーワード | 一酸化窒素 / 過少グラフト / 門脈圧 |
研究概要 |
実験動物:30-40kg重のブタ ブタ過小グラフト肝移植モデルの作成:ドナー手術では30%グラフトを想定し、左3区域切除(外側区域+内側区域+前区域切除)を施行した。摘出肝グラフトはレシピエント全肝重量比33.0±5.9%、レシピエント体重比0.63±0.13%であった。摘出グラフト肝には虚血域も手技上含むため、真のグラフトは25%程度だと考えられた。レシピエント手術は血行動態維持のため門脈-頸静脈シャントを使用し、全肝摘出後にグラフト肝を移植する。肝上下の下大静脈、門脈、動脈、胆管をそれぞれ端々吻合にて再建した。また術中の動脈圧、中心静脈圧、門脈圧、門脈流量をモニタリングした。 保存方法において、単純冷保存群(control)とVSOP+NO群(冷保存中に肝静脈から逆行性に酸素ガスとNOガスを低圧注入する)の2群に分類し、治療成績を比較検討した。 冷阻血時間は単純冷保存群279±15分,VSOP+NO群285±28分(うちVSOP+NOは167±42分)で有意差を認めなかった。生存に関してはVSOP+NO群で7日間生存を1例認めたが、有意差なし(p=0.54)。移植後の肝障害(AST, ALT, プロトロンビン時間, ヒアルロン酸)に有意差を認めなかった。移植後の肝組織では両群で門脈域の出血が認められたが、肝血行動態に関しては、門脈圧-中心静脈圧較差がVSOP+NO群で低い傾向にあった(p=0.12)。肝再生をグラフト重量で検討したところ、両群で有意差は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究においては安定したブタ移植モデルの作成が不可欠である。本モデルにおいてはグラフト肝の肝実質切離面の出血コントロールが手技上困難であり、移植手技関連の合併症で難渋するケースが認められた。以上のことが現在の達成度の理由と考えられる。 しかしこの点に関しては、肝切離手技の向上により改善が認められた。
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今後の研究の推進方策 |
現在継続中のブタ過小グラフト肝移植モデルにおけるVSOP+NO保存方法の有用性の検討実験を進める。 また、VSOP+NO保存の単純冷保存に対する有用性に関して、我々はラットの脂肪肝部分グラフト(Nagai, et al. Transplantation 2012;95:78-84)ならびに心停止後肝グラフトモデル(Kageyama, et al. Transplantation. 2014;97:618-25)においても報告してきた。 今後は大動物の脂肪肝ならびに心停止後肝グラフトモデルにおいてVSOP+NOの有用性について検討していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本実験の遂行においては適切な体重および清潔度の実験ブタの確保が必要とされるが、動物確保が難しい時期があったため、次年度使用額が生じた。 現在は実験ブタの継続的な確保が可能となった。 現在継続中のブタ過小グラフト肝移植モデルに対するVSOP+NO保存の有用性検討実験で使用予定である。
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