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2012 年度 実施状況報告書

心停止ドナー肝移植の実施に向けた前臨床研究

研究課題

研究課題/領域番号 24591882
研究種目

基盤研究(C)

研究機関愛媛大学

研究代表者

高田 泰次  愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10272197)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード肝移植 / トランスレーショナル・リサーチ
研究概要

肝移植医療におけるドナー不足に対する方策として心停止後ドナー(DCD)からの肝移植がある。DCDからのグラフト肝は肝温虚血障害が加わることにより、脳死肝移植に比べて移植後早期のグラフト機能不全と胆管狭窄などの胆管合併症の危険性が高いことが指摘されている。近年では摘出後のグラフト肝を体外灌流することによりそのviabilityを向上させうることが明らかになりつつあるが、現状での問題点として1)体外灌流法における灌流液温度が冷却(4℃)と常温(37℃)のどちらがより保護効果があるのか、2)灌流後にグラフト肝の搬送、移動のために必要な単純冷却保存により再びviabilityが低下する、など解決すべき課題が多い。本研究は本邦でのDCD肝移植の臨床応用を目指すためのトランスレーショナル・リサーチとして、大動物肝移植実験によってこれらの課題について検討することを目的として研究を開始した。
これまでの成果としては、1)愛媛大学総合科学研究支援センターの中の動物実験センターでブタ肝移植実験のセットアップを開始した。当センターでの、ブタ実験動物の搬入、飼育、全身麻酔下の開腹手術などブタ肝移植実験の準備を完了し、さらに数頭のブタ開腹手術を行い、DCD肝移植モデルの確立に向けて検討している。2)ブタ肝移植実験と平行して、灌流液の至適温度の検討のために、ラットを用いた肝移植実験も開始した。これにより多くの実験数を稼いで至適温度の基礎的データを集め、ブタ実験へ応用する計画である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

愛媛大学総合科学研究支援センターの中の動物実験センターでの、ブタ実験動物の搬入、飼育、全身麻酔下の開腹手術などブタ肝移植実験の準備を完了できた。さらに、数頭のブタを用いて全身麻酔下に開腹手術を実施し、術後の経過観察も行った。

今後の研究の推進方策

Controlled DCDからの肝臓摘出を想定して、ブタDCD肝移植モデルを設定する。まず、麻酔をかけ十分な筋弛緩剤の投与を行い、この後人工呼吸器を停止し、呼吸停止による心停止を誘導する。心停止後10分経過した後に、開腹しwash-outを開始する。呼吸停止からwash-out開始までの温虚血時間を45分に設定する。Wash-out液には、われわれが臨床生体肝移植で用いているHTK solutionを使用する。ドナーからのグラフト肝摘出後、体外灌流を行う。体外灌流終了後UW solutionを用いた8時間の冷却保存を行った後、レシピエントに移植する。
ドナーからのグラフト肝摘出後、引き続き体外灌流を行う。灌流方式はこれまでブタ肝灌流実験で用いた装置を使用する。灌流液の温度や灌流経路(門脈のみ、門脈+動脈)について検討する。さらに、肝虚血再灌流障害の炎症性メディエーターを阻害する薬剤による肝機能保護効果を検討する。薬剤はwash-out液や体外灌流液、冷却保存液に加え、さらには移植手術開始直後からレシピエントに投与することにより、グラフト肝機能保護効果を検討する。

次年度の研究費の使用計画

物品費として、実験動物であるブタの購入費や麻酔薬や灌流液などの薬剤費に100万円程度充てる。また、情報収集のための旅費や動物センター利用料(飼育費)などに残りを当てる計画である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Living donor liver transplantation for hepatitis C.2013

    • 著者名/発表者名
      Takada Y, Uemoto S.
    • 雑誌名

      Surg Today

      巻: 2013 Jul43(7) ページ: 709-714

    • DOI

      10.1007/s00595-012-0361-z

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Soft-light overhead illumination systems improve laparoscopic task performance.2013

    • 著者名/発表者名
      Takai A, Takada Y, Motomura H, Teramukai S.
    • 雑誌名

      Surgical Laparoscopy, Endoscopy & Percutaneous Techniques

      巻: in press ページ: in press

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Long-term quality of life of donors after living donor liver transplantation.2012

    • 著者名/発表者名
      Takada Y, Suzukamo Y, Oike F, Egawa H, Morita S, Fukuhara S, Uemoto S, Tanaka K.
    • 雑誌名

      Liver Transpl.

      巻: 18 ページ: 1343-1352

    • DOI

      10.1002/lt.23509

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Living donor liver transplantation for Budd-Chiari syndrome with hepatic inferior vena cava obstruction after open pericardial procedures.2012

    • 著者名/発表者名
      Fukuda A, Ogura Y, Kanazawa H, Mori K, Kawaguchi M, Takada Y, Uemoto S.
    • 雑誌名

      Surg Today

      巻: Nov28 ページ: -

    • DOI

      10.1007/s00595-012-0440-1

    • 査読あり
  • [学会発表] Small-for-Size Graft Syndrome in Liver Transplantation.2012

    • 著者名/発表者名
      Takada Y
    • 学会等名
      World Congress of the International Association of Surgeons, Gastroenterologists, and Oncologists (IASGO).
    • 発表場所
      Bangkok, Thailand
    • 年月日
      20121205-20121208
    • 招待講演
  • [学会発表] Strategies for Recurrence of Hepatitis C after Living Donor Liver Transplantation.2012

    • 著者名/発表者名
      Takada Y
    • 学会等名
      World Congress of the International Association of Surgeons, Gastroenterologists and Oncologists
    • 発表場所
      Bangkok, Thailand
    • 年月日
      20121205-20121208
    • 招待講演
  • [学会発表] Long Term Follow-Up of Donors’ Quality of Life after Living Donor Liver Transplantation.2012

    • 著者名/発表者名
      Takada Y, Suzukamo Y, Fukuhara S, Uemoto S, Tanaka K.
    • 学会等名
      24Th International Congress of The Transplantation Society
    • 発表場所
      Berlin, Germany
    • 年月日
      20120715-20120719
  • [学会発表] Randomized Trial Comparing Tacrolimus And Steroid With Tacrolimus And Mycophenolate Mofetil Among HCV Positive Recipients In Living Donor Liver Transplantation.2012

    • 著者名/発表者名
      Yasutsugu Takada, Toshimi Kaido, Katsuhiro Asonuma, Hiroyuki Sakurai, Shoji Kubo, Tetsuya Kiuchi, Yukihiro Inomata, Shuji Isaji, Shinji Uemoto.
    • 学会等名
      The 2012 (18th) Joint international congress of ILTS(International Liver Transplantation Society), ELITA, LICAGE
    • 発表場所
      San Francisco, USA
    • 年月日
      20120516-20120519
  • [学会発表] 生体肝移植におけるsmall-for-size graft2012

    • 著者名/発表者名
      高田泰次
    • 学会等名
      第112回日本外科学会定期学術集会
    • 発表場所
      千葉
    • 年月日
      20120412-20120414
    • 招待講演

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公開日: 2014-07-24  

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