研究概要 |
HLA-Fは非古典的HLAクラスI遺伝子の一つであり、研究協力者のGeraghtyらが発見した遺伝子である。HLA-Fは、これまでの解析で、①定常状態のB細胞表面には発現していないが、EB virusにより形質転換したB細胞表面には発現する(J Immunol., 2003)、②HLA-Fは定常状態の免疫担当細胞表面には発現していないが、活性化免疫担当細胞表面には発現する(Eur J Immunol., 2010)、③HLA-FはCD25+CD4+制御性T細胞表面には、定常・活性化のいずれの状態においても発現しない(Eur J Immunol., 2010)ことが、Geraghtyらにより明らかにされている。さらに、④多様な発現様式をもつこと(J Immunol., 2010)、⑤HLAクラスIのopen conformerと会合してクロスプレゼンテーションと関与する(J Immunol., 2013)ことがGeraghtyらから報告された。 このことからHLA-Fは、拒絶反応時に活性化された細胞に発現するだけでなく、拒絶反応の増悪に関与しているとも考えられる。 申請者らは、抗HLA-F抗体を使用した活性化細胞除去による免疫抑制法の開発を目指し、昨年度より腎臓・肝臓・造血幹細胞移植前後における患者末梢血リンパ球におけるHLA-Fの発現を解析してきた。 これまで腎臓移植82例、肝臓移植76例、造血幹細胞移植43例について解析を行っているが、現時点では各臨床データと、HLA-Fの発現有無について、明確な相関は得られていない。現在、6種の抗HLA-F抗体を使用して詳細な解析を進めているところである。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度は、ほぼ研究計画通りに研究費を使用したが、本研究を進める中で、解析方法の検討が必要となる項目ができたため、タンパク質解析用の試薬費が増加した。26年度もこれらを継続する必要があるが、タンパク質解析用試薬が高価であったことと、in vitro実験の試薬費が必要であったことから、試薬費不足による26年度の研究継続困難を回避するため、約20万を26年度に繰り越した。 試薬(おもに抗体)、ガラス・プラスチック等使い捨て器具(チューブ、シャーレ、、ピペット等)に使用する。内訳は、抗HLA-Fモノクロナル抗体¥60,000/本×6=360,000-、FACS用抗体(CD25、CD4、CD3、CD19、CD14、CD56、CD127、アイソタイプコントロール3種)¥40,000/本×10=400,000-、細胞分離キット(CD3、CD19、抗マウスIgGビーズ)¥80,000/kit×3=240,000-、タンパク質解析用試薬\215,000-(PAGEゲル\2,500/10枚×100枚=\25,000-、PVDFメンブレン\40,000-、protein G 磁気ビーズ\50,000×2=\100,000-、銀染色試薬\10,000×5=\50,000-)、細胞刺激剤\50,000×2=\100,000-、その他をガラス・プラスチック等使い捨て器具に充てる。
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