本研究では,消化器癌に対する新たな癌治療法の開発を目的として,腫瘍免疫に関わるT細胞不活化経路のいくつかの候補分子の検討を行った.その結果,ETBR, HVEM,CD155,Nectin-4といった分子が,食道癌,大腸癌,肝癌,膵癌などにおいて,患者の生命予後や再発等と,有意な関係があることが初めて明らかとなった.また動物モデルでは,抗PD-1抗体と血管新生阻害が相乗的抗腫瘍効果をもたらすことが明らかとなった.これらの結果から,上記の分子を標的とする治療や新たな集学的癌治療が,特に腫瘍特異的メモリーT細胞の能動的誘導を起こし得る可能性が示唆された.
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