研究課題/領域番号 |
24591889
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
猪口 貞樹 東海大学, 医学部, 教授 (60160008)
|
研究分担者 |
斉藤 剛 東海大学, 医学部, 准教授 (30266465)
安藤 潔 東海大学, 医学部, 教授 (70176014)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 人工臓器 / 培養皮膚 / 抗菌ペプチド / 遺伝子導入 |
研究概要 |
本研究は、hBD3およびhCAP-18/LL37遺伝子を導入した培養皮膚が、移植後生体内において当該抗菌ペプチドを発現・分泌し、またヒト皮膚組織の再生および局所免疫に対して悪影響を与えないことを明らかにしようとするものである。平成24年度の成果は以下のとおり。 ①hBD3 cDNA、hCAP-18/LL37 cDNAまたは両者をタンデムに連結した遺伝子を組み替えたウイルスをそれぞれ作製・増殖し、充分量のウイルスストックを準備した。②各組み換えウイルスの感染により、各遺伝子をヒト培養表皮細胞、真皮線維芽細胞へ導入した。③導入遺伝子が発現し、各蛋白が培養上清中に分泌されることをRT-PCRおよびwestern blotにて確認した。④培地中に分泌されたhCAP-18を好中球プロテアーゼで処理し、LL37に分解されることをwestern blotにて確認した。⑤hCAP-18/LL37 cDNA組み換えウイルスを感染したヒト表皮細胞と真皮線維芽細胞を免疫不全マウスに移植した。 今後、移植後の組織を経時的に切除のうえ、導入遺伝子の発現、抗菌ペプチドの存在、再生皮膚の組織構造などを、生化学的、病理組織学的に検討する。また、hBD3 cDNAおよびhCAP-18/LL37 cDNAをタンデムに連結した遺伝子の導入細胞についても、同様の移植実験を実施する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は、hBD3およびhCAP-18/LL37遺伝子を導入した培養皮膚が、移植後生体内において当該抗菌ペプチドを発現・分泌し、またヒト皮膚組織の再生および局所免疫に対して悪影響を与えないことを明らかにすることである。 昨年度までに作製した組み換えアデノウイルスの力価が不十分であったため、hBD3 cDNA、hCAP-18/LL37 cDNA、両者をタンデムに連結した遺伝子を組み替えたウイルスをそれぞれ再度作製し、さらに各ウイルスをウイルスストックを充分量準備したため、研究の開始までにやや時間を要した。現在、既にヒト表皮細胞に目的遺伝子を導入し、免疫不全マウスへの移植実験を開始しており、本年度実施を計画していた研究プロセス自体は順調に推移している。 以上から、研究目的の達成に大きな影響はないものの、やや遅れていると評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究では、目的を達成するために、①抗菌ペプチド遺伝子を導入したヒト表皮細胞からなる培養皮膚の免疫不全マウスへの移植とその解析、②抗菌ペプチド遺伝子を導入したヒト線維芽細胞からなる培養皮膚の免疫不全マウスへの移植とその解析、③抗菌ペプチド遺伝子を導入したマウス細胞の同系マウスへの移植の3つを計画している。 平成24年度は、上記①の免疫不全マウスへの移植実験を完了する予定であったが、充分量のウイルスストックを準備するためにやや時間を要した。年度内に上記①の途中まで計画を達成しており、研究自体は順調に推移している。 今後の研究推進方策としては、平成25年度に上記①抗菌ペプチド遺伝子を導入したヒト表皮細胞からなる培養皮膚の免疫不全マウスへの移植とその解析を完了するとともに、②抗菌ペプチド遺伝子を導入したヒト線維芽細胞からなる培養皮膚の免疫不全マウスへの移植とその解析を開始し、平成26年度には③を行う計画である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度には、抗菌ペプチド遺伝子を導入したヒト表皮細胞からなる培養皮膚の免疫不全マウスへの移植とその解析を完了する計画であったが、ウイルスの準備に時間を要したことから、現在実施中であり完了していない。次年度使用額(B-A)は、この平成24年度未実施の移植実験等に使用することを計画している。 平成25年度には上記を完了のうえ、さらに他の計画を実施する予定である。
|