手術侵襲後の生体では,アポトーシス細胞に対する貪食能が低下することで過剰な炎症性生体反応が惹起され術後合併症の要因となる。消化器外科手術患者を対象とし,貪食調節因子であるMFG-E8 と リゾフォスファチジルコリン (LPC)の血中レベルと術後の炎症性生体反応および術後合併症との関連を検討した。MFG-E8値は,侵襲後に有意な変動を認めなかった。LPC値は術後低下し侵襲度に依存した。術後LPCとIL-6値は逆相関関係を認め,合併症群では非合併症群に比べ術後LPC値の有意な低下を認めた。術後のLPC低下は,過剰な炎症性生体反応を誘導し術後合併症の発生の要因となることが示された。
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