研究課題/領域番号 |
24591893
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(千葉東病院臨床研究センター) |
研究代表者 |
浅野 武秀 独立行政法人国立病院機構(千葉東病院臨床研究センター), その他部局等, その他 (80143311)
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研究分担者 |
鈴木 一史 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00586737)
剣持 敬 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (50215133)
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キーワード | 幹細胞 |
研究概要 |
(1)マウス膵腺房細胞から誘導される幹細胞様細胞の同定 CD1マウス膵を麻酔下に摘出し、前年検討した至適条件において上皮細胞増殖因子(EGF) 50ng/ml添加DMEM培地およびゼラチンコート培養皿の条件下で培養することにより、約1週間経過することで、線維芽細胞様の形態をした細胞へと変化し、蛍光免疫染色で神経幹細胞マーカーであるNestin陽性細胞の集団となった。これらの細胞を誘導するにあたり遺伝子やマイクロRNAの導入は必要ではなく、遺伝子導入を伴わないリプログラミングである可能性がある。 (2)マイクロアレイ解析およびパスウエイ解析 培養初日の腺房細胞および7日目の線維芽細胞用に変化した細胞よりRNAを抽出し、Affymetrix Mouse 430アレイを用いてマイクロアレイ解析を行った。多数の遺伝子発現の変化が認められ、プレゼンスコールの解析で2倍以上の発現上昇を認めたもの2216プローブ、0.5倍以下の発現低下を認めたのは4174プローブであった。パスウエイ解析によりスプライストーム(45遺伝子 p=7.15E-14)、接着因子(54遺伝子 p=6.41E-11)、癌関連パスウエイ(73遺伝子 p=2.51E-10) アクチン細胞骨格(56遺伝子 p=2.67E-10) 細胞周期(36遺伝子 p=7.14E-8)などのパスウエイに大きな変動を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全遺伝子の1割近い大規模な変動のためマイクロアレイ解析の結果解釈に困難があった。
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今後の研究の推進方策 |
幹細胞変化パスウエイの同定とOct3/4など山中4因子発現との関連の検索 クラスター分析の結果より、胎生期発生関連遺伝子群(60遺伝子 1.0E-4)の発現の増強が確認され、細胞は脱分化および幼若化し胎生期の発生に重要な遺伝子が発現していることが確認された。生物学的には、成体となってからの役割がない、あるいは不明であった遺伝子群が重要な役割を果たしている可能性が考えられ、幹細胞性(stemness)を与える鍵遺伝子である山中4因子およびその関連遺伝子の関与も含めさらに検索する予定である。また癌関連遺伝子の発現増強は、幹細胞性の獲得と発癌との密接な関連を示唆するものであり、発癌の初期段階としての意義も考えうる。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究の進捗状況により、研究費の使用時期が変更となった。 マウス、試薬、抗体等の購入で使用を計画している。
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