研究課題/領域番号 |
24591893
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(千葉東病院臨床研究センター) |
研究代表者 |
浅野 武秀 独立行政法人国立病院機構(千葉東病院臨床研究センター), その他部局等, その他 (80143311)
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研究分担者 |
鈴木 一史 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (00586737)
剣持 敬 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (50215133) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 幹細胞 / リプログラミング |
研究実績の概要 |
移植臓器の不足の解決のために再生医学は重要である。iPS細胞は全能性であり、理論上はあらゆる臓器再生の源となりうるが、遺伝子導入されていること、発癌性の問題がり解決には時間とコストが必要である。今回我々は、マウス膵腺房細胞すなわち上皮細胞の可塑性に着目し、遺伝子導入のないリプログラミングが可能であるかどうかを検討した。マウス膵上皮細胞は我々の開発した培養方法および上皮細胞増殖因子の存在下に、幹細胞マーカー陽性であり、かつ間質細胞の性質をもった細胞に変化した。得られた幹細胞様細胞は、神経幹細胞マーカーであるNestin陽性である。またこの変化は同時に上皮-間葉変換(epithelial-to-mesenchymal transition)であった。得られた膵幹細胞は、通常の培養細胞と同じような水準で、保存、増殖が可能であった。Affymetrix GeneChip Mouse genome 430マイクロアレイを用いた包括的遺伝子検索により、発現量が2倍以上に増加した遺伝子が2216遺伝子、2分の1以下に現象した遺伝子が4174遺伝子であり、この変化は多数の転写、タンパク合成を伴う変化であると考えられた。この結果はパスウエイ解析でも確かめられスプライストーム、接着因子、癌関連パスウエイ、アクチン細胞骨格、プロテアソームに関連するパスウエイが有意に活性化していた。またクラスター分析により胎生期の胚発生に関連して発現する遺伝子群の発現も認められた。胎生期のみに発現していると考えられている遺伝子の成体における役割は不明である。しかし、癌などの病的な状況では胎生期関連タンパクが発現していることは、広く知られている。今回の膵幹細胞誘導において胎生期の発生関連遺伝子が活発に転写されていることは、成体においても、細胞の形質の変換すなわちリプログラミングが生じる際には、短いタイムスケールで胎生期の遺伝子が役割を果たす可能性を示唆する。
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