トリプルネガティブ乳癌(TNBC)は年々増加傾向の乳癌の中でもエストロゲン、プロゲステロン、HER2などの治療標的が存在しない乳癌であり現在のところ治療標的がないアンメットニーズの高い疾患である。一方、1086人の乳癌症例にてペリオスチン(PN)の発現の強い症例が独立した予後規定因子であること、TNBCで特にPNが過剰発現していることが報告されている。そこで我々はPN中和抗体を独自に作成し、TNBCの1つであるヒト・MDA-MB-231細胞と重症免疫不全マウス(NOGマウス)を用いたTNBC肺転移モデルを構築し、PN中和固体の効果を検討した。PN中和抗体は原発巣を有意に抑制しただけでなく肺転移巣を著明に抑制することを確認した。また、この機序を解明するためにPN蛋白質がWnt3a蛋白質と強固に結合することを確認した。さらに、臨床サンプルを用いてPN中和抗体を用いて乳癌症例の原発巣を免疫染色すると、PN発現症例で転移する傾向であることが観察された。以上より、PN中和抗体のTNBCへの治療薬としての可能性が示唆された。
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