研究概要 |
本研究の目的は、乳癌の個別化治療を目指した新しい感受性診断法の開発であり、現在乳癌治療においては最も汎用されているタキサン系とアンスラサイクリン系抗癌剤のsequential治療の効果予測診断を目指している。 対象は、腫瘍径が3cm以上の浸潤性乳癌か、腋窩リンパ節転移を有し術前化学療法が必要と考えられる原発性乳癌患者で、インフォームドコンセントをえた後に、まず術前化学療法施行前に吸引補助下針生検を行い乳癌組織の採取を行う。このサンプルを用いて、乳癌組織中のエストロゲン受容体 (ER)、プロゲステロン受容体 (PR)、human epidermal growth factor receptor 2 (HER2)、Ki-67 labelling index、Cell Cycle Profiling (C2P)法によるC2P-risk score (C2P-RS) (CDK1, 2の発現と活性から算出)、GSTP1に加え、まずリン酸化Akt (pAkt)の測定を行った。H25年度中には約30例の患者で測定を行った。術前化学療法としては、paclitaxel (80 mg/m2, weekly, 12回) ± (HER2陽性乳癌に対して) trastuzumab (4 mg/kg → 2 mg/kg, weekly, 12回) → FEC (500/75/500 mg/m2, q3w, 4回)を施行した。 Outcomeとして、術前化学療法の前後で撮影したMRIによる臨床的効果判定と、手術標本での病理組織学的効果判定を用いる。各バイオマーカーと臨床的および病理組織学的治療効果との相関について検討を行い、乳癌のsubtype別に抗癌剤感受性予測診断が可能なツールを構築したい。現在、症例の集積を行っているところで、最終的には計100例のエントリー数を目標としている。
|