研究課題/領域番号 |
24591905
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
大内田 守 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80213635)
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研究分担者 |
伊藤 佐智夫 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30335624)
岡 剛史 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50160651)
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キーワード | miRNA / 肺がん / 標的遺伝子 |
研究概要 |
肺癌では、microRNA(miRNA)のクラスターmiR-17-92の過剰発現が発癌に関わることが報告されているが、その標的遺伝子群に対する相互作用はほとんど解明されていない。申請者らは、これまでmiRNAの標的遺伝子の新規同定技術の開発を行っており、このmiRNAの標的遺伝子の同定技術を用いて、肺癌に関わるmiRNAの標的遺伝子群の同定を進めている。 miRNAの標的遺伝子mRNAを回収するIVPD法の最適条件を検討し、miR-19aに対する標的候補遺伝子mRNAを回収した。回収されたRNAよりcDNAを作成し、PCRにより標的候補遺伝子を選出し増幅した。miR-19aが細胞内で確かに標的遺伝子を制御していることを明らかにするために当該標的候補遺伝子のmiR-19a結合配列を持つLuciferaseレポータープラスミドを作成しLuciferaseアッセイを行い、miR-19aにより発現抑制を受ける遺伝子を絞り込んだ。さらに、miR-17-92クラスターが高発現している肺がん細胞株にanti-miRNA Locked Nucleic Acid(LNA)を導入してmiR-19aをノックダウンさせて蛋白発現解析を行ない、コントロールLNA導入細胞に比して蛋白量が上昇するものを標的遺伝子として絞り込んだ。選出された標的遺伝子を細胞内で高発現させるためのcDNA発現ベクターを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ある種のmiRNA は癌の発症に関わっていることはわかっているが、そのmiRNAがどのmRNAに結合して作用しているか標的遺伝子に関する報告は少ない。miRNAの標的遺伝子の探索研究が進まない理由は、miRNAとmRNAの結合様式が100%マッチで結合するのではなく、miRNA結合配列の中でもシード領域(完全にマッチする約8塩基)を中心として数塩基のミスマッチを含む形で結合するため、真の標的遺伝子が見いだせないからである。本研究では、その標的遺伝子を実験系で同定しようとするものである。これまでのところ、抗体を用いた蛋白発現量の解析を行い、anti-miR-19a LNAの存在下でmiR-19aをノックダウンさせ、存在下と非存在下で問題の標的遺伝子の蛋白変化を検討したところ、確かに標的候補遺伝子がmiR-19aに発現制御されていることが確認された。このことは、システム的に真の標的遺伝子を捕まえていると考えられるため、その点からも達成度は満足のいくものであると感じている。
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今後の研究の推進方策 |
確定された標的遺伝子を過剰発現させるためのcDNA発現ベクターを肺癌培養細胞に投与することにより、癌細胞増殖やコロニー形成に関わる標的蛋白の詳細な作用機序の解析を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品を予定より安く購入できたため未使用額が生じた。 標的遺伝子cDNAの発現ベクターを細胞へ導入するための細胞導入試薬や増殖能測定キット等の購入を計画している。
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