研究課題/領域番号 |
24591921
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
藤井 公人 愛知医科大学, 医学部, 講師 (00524331)
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研究分担者 |
中野 正吾 愛知医科大学, 医学部, 教授 (20351108)
福富 隆志 愛知医科大学, 医学部, 教授 (30165302)
吉田 美和 愛知医科大学, 医学部, 助教 (30556098)
高阪 絢子 愛知医科大学, 医学部, 助教 (50440748)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | SHAP-HA複合体 / 乳癌間質組織 / 転移 |
研究概要 |
乳癌組織間質に存在するSHAP-HA複合体の,微小環境形成に対する役割を解明する.乳癌組織周囲には,HAおよびCD44によって形成された微小環境が見られるが,その裏打ちとしてSHAP-HA複合体が機能していると思われる.本研究においては,癌細胞の酸化ストレスに対抗する機構の要となる細胞内還元型グルタチオンを取り上げた.これらはCD44を介して細胞内に貯留されるものであるが,ヒトの乳癌組織切片での免疫染色で検討した.免疫染色では,細胞内にグルタチオンは明らかに確認できたが,その間質には発現を認めなかった.細胞内の存在は予想されており,間質はその裏打ちとして何らかの役割をしていることが示唆された.間質にもグルタチオンの確認が得られるならば,それ以上の対ストレス反応は考えづらくなるので,次の展開に良い結果とも言える. 血中SHAP-HA複合体の濃度と乳癌の組織のsubtypeとの関係性を検討する.これにおいては,さらなる症例の蓄積の段階である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
乳癌組織での免疫染色を,まず進めている状態である.最初予定したグルタチオンの間質内での存在は否定されたが,細胞内での安定性を与えるための役割を,SHAP-HA複合体が成している可能性を考える.一方,Cystathionine-γ-lyaseでの免疫染色はグルタチオンの存在が認められないために,間質での評価は延期とした. 血漿中でのSHAP-HA複合体測定に関しては,その手技はほぼ安定したものとなった. 実験の進捗状況においては,前回までの蓄積もあり,本年度においてはほぼ順調に進んだものと考える.間質における酸化ストレスに対する反応が,一般的なグルタチオンを直接介するものではないと確認されたことが,当初の計画以上に進められなかった要因と考える.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の実験で使用したしたグルタチオン.ペルオキシダーゼ酵素抗体は,アイソザイム1及び2であった.この2つは,酸化ストレスに対抗するもっとも有力なものであるが,細胞内だけにしかやはり存在せず,SHAP-HA複合体との関係性の解明が必須となる.細胞培養系に対する研究においては,SHAP-HA複合体を添加するか否かのみで,癌細胞周囲の環境を変化させることが可能であるが,in vivoとの状況とは大きな差がでる可能性を危惧する.培養系での反応を各種の株で試行し,ある程度の反応がみられたら,in vivoでの実験系も視野に入れる必要性を思うところである.今後の方向性は,ヌードマウスに株を移植した状態での反応を検討することとなる.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度においては,細胞株でのストレス反応とSHAP-HA複合体の反応を十分評価することを中心に進めることになる.この時点で,結果を公表するために論文化すろことは必須となるが,次はin vivoでの実験系の確立となる.当初の予定には,ここまでは考慮されていなかったが,将来はSHAP-HA複合体の中和剤あるいは,ヒトに使用できる抗体を作成することを視野に入れて進めていきたい.
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