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2012 年度 実施状況報告書

肺癌のプログレッション抑制を目指したTM4SFとWntによる網羅的シグナル解析

研究課題

研究課題/領域番号 24591926
研究種目

基盤研究(C)

研究機関公益財団法人田附興風会

研究代表者

黄 政龍  公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第1研究部, 研究主幹 (10271511)

研究分担者 庄司 剛  公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第1研究部, 主任研究員 (80402840)
福井 基成  公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第12研究部, 部長 (50342697)
竹村 昌也  公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第2研究部, 主任研究員 (30378707)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード癌 / プログレッション / TM4SF / Wnt / 遺伝子治療
研究概要

我々はTransmembrane 4 superfamily (TM4SF)とWntのシグナル系に関わる機序を解明し,プログレッションの抑制に有効な癌治療の新規ターゲットの探究を行っている.
まず,ヒト癌細胞株におけるTM4SF発現とWnt発現の定量を行った結果,A549とHT1080をCD9減弱癌細胞株,A549とMAC10をCD82減弱癌細胞株,A549をWnt1高発現癌細胞株,A549とHela, PANC1をWnt2B高発現癌細胞株,A549とMAC10をWnt5A高発現癌細胞株とした.
次に,非増殖型アデノウィルスベクターを用いて,TM4SF減弱癌細胞株へのTM4SF誘導(CD9誘導ベクターとCD82誘導ベクター)とWnt高発現癌細胞株へのshRNA発現によるWnt抑制(Wnt1抑制ベクター,Wnt2B抑制ベクター,Wnt5A抑制ベクター)について,in vitroの遺伝子治療実験をそれぞれ行い,機能的解析を行った.その結果,CD9減弱癌細胞株であるA549とHT1080では,CD9誘導ベクターによりTranswell 法で細胞運動能の抑制がみられた.同様に,CD82減弱癌細胞株であるA549とHelaに対するCD82誘導ベクターでも細胞運動能の抑制がみられた.更に,Wntシグナルでは,Wnt2B高発現癌細胞株であるA549とHela, PANC1に対して,Wnt2B抑制ベクターがMTTアッセイで強力な細胞増殖抑制を認め,更にフローサイトメーターとTUNEL法でもアポトーシスの誘導が見られた.一方,Wnt1抑制ベクターとWnt5A抑制ベクターによる細胞増殖抑制とアポトーシス誘導の効果は少なかった.これらの結果から現在我々は,CD9誘導+Wnt2B抑制による遺伝子治療とCD82+Wnt2B抑制による遺伝子治療における機能的解析を継続して行っている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヒト癌細胞株におけるTM4SF発現とWnt発現の評価は既にできている.また,TM4SF誘導ベクター(CD9誘導ベクターとCD82誘導ベクター)とWnt抑制ベクター(Wnt1抑制ベクター,Wnt2B抑制ベクター,Wnt5A抑制ベクター)はそれぞれ作製済みである.その中で,TM4SF減弱癌細胞株へのTM4SF誘導とWnt高発現癌細胞株へのWnt抑制についての遺伝子治療実験を行い,それらの機能的解析も順調である.しかしながら,マイクロアレイ解析は高価な実験であるため,この解析に入る前に,機能的解析の再現性などを含めて十分な検討を繰り返し行っている.

今後の研究の推進方策

プログレッション抑制に有効なTM4SF誘導とWnt抑制の組み合わせで遺伝子治療実験を行い,cDNAマイクロアレイとmiRNAマイクロアレイによる発現変化の網羅的解析により,癌におけるプログレッションの抑制に有効と考えられる新規治療ターゲット(遺伝子またはmiRNA)を選別する.これまでの研究成果から現在我々は,CD9誘導+Wnt2B抑制による遺伝子治療とCD82+Wnt2B抑制による遺伝子治療における機能的解析を継続して行っている.
そして,選別した新規治療ターゲットについて,肺癌組織と患者宿主における臨床的解析を行う.解析方法としては,まずこれまで保存していきた肺癌組織における新規治療ターゲットの発現について,real-time RT-PCRで発現を定量し,免疫組織化学法で蛋白発現を評価する.そしてKi67指数による増殖能評価とCD34染色による血管新生評価で機能的解析を行う.そして,リンパ節や遠隔臓器への転移能や予後解析についても臨床的解析を行う.

次年度の研究費の使用計画

本研究計画は我々のこれまでの研究の延長線上にあるものであり,現有の設備で遂行可能であるため,本研究費による新たな機器の購入は予定していない.そのため,次年度の研究費の使用は,in vitroの遺伝子治療実験におけるMTTアッセイ,real-time PCR, Western blotなどの試薬や,臨床研究におけるreal-time PCR,免疫組織化学法などの試薬の購入を消耗品として予定している.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Adenoviral vector expressing short hairpin RNA targeting Wnt2B has an effective antitumour activity against Wnt2B2-overexpressing tumours2012

    • 著者名/発表者名
      Liu D, Huang C, et al.
    • 雑誌名

      European Journal of Cancer

      巻: 48 ページ: 1208-1218

    • DOI

      10.1016/j.ejca.2011.05.003

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Wnt3 gene expression promotes tumor progression in non-small cell lung cancer2012

    • 著者名/発表者名
      Nakashima N, Huang C, et al.
    • 雑誌名

      Lung Cancer

      巻: 76 ページ: 228-234

    • DOI

      10.1016/j.lungcan.2011.10.007

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Intratumoral Wnt2B expression affects tumor proliferation and survival in malignant pleural mesothelioma patients2012

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi M, Date H, et al.
    • 雑誌名

      Experimental and Therapeutic Medicine

      巻: 3 ページ: 952-958

    • 査読あり
  • [学会発表] 非小細胞肺癌における腫瘍内Wnt発現の包括的検討とWnt抑制遺伝子治療2012

    • 著者名/発表者名
      黄 政龍,他
    • 学会等名
      第53回日本肺癌学会総会
    • 発表場所
      岡山
    • 年月日
      20121108-20121109
  • [学会発表] 非小細胞肺癌における腫瘍内Wnt発現の包括的検討2012

    • 著者名/発表者名
      黄 政龍,他
    • 学会等名
      第29回日本呼吸器外科学会総会
    • 発表場所
      秋田
    • 年月日
      20120517-20120518
  • [備考] バイオマーカーによる肺がん個別化化学療法 (呼吸器センター 外科)

    • URL

      http://www.kitano-hp.or.jp/section/kokyuki-center#index-contents

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公開日: 2014-07-24  

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