研究課題/領域番号 |
24591927
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研究機関 | 公益財団法人田附興風会 |
研究代表者 |
山内 清明 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第1研究部, 部長 (00291427)
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研究分担者 |
上野 貴之 杏林大学, 医学部, 講師 (40452362)
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キーワード | メニン / 乳癌 / ホルモン療法 |
研究概要 |
メニンはタモキシフェンの効果を阻害したが、今回は閉経後のホルモン療法剤であるアロマターゼ阻害剤および完全型エストロゲンレセプター拮抗剤であるフルベストラントに対してメニンが基礎的・臨床的に影響を与えるかどうかを明らかにするとともに、そのメカニズムをin vitroで解析する。具体的にはルミナール型乳癌切除標本におけるメニンと治療効果との関連を検討するための後ろ向き臨床試験の実施:過去に行われたルミナール型乳癌術前ホルモン療法症例の治療前組織サンプルにおけるエストロゲンレセプター関連因子であるメニンの発現量を免疫組織染色(H Score)で解析し、奏効率との相関を解析することが目的である。本年は免疫染色用の抗メニン抗体の選定と染色条件の決定を行った。方法は既存の数種類の抗体を用いて9例のエストロゲンレセプター90%以上の乳癌薄切切片を各種条件下で免疫組織染色して、染色の特異性や染色強度、染色の妥当性を検討した。その結果Bethyl社のIHC-00572抗体(200倍希釈)が特異性、強度において最適であった。また本抗体でのメニン発現のH-ScoreとPgR発現の程度が有意に相関した(相関係数:0.80、P=0.01)。次年度は臨床成績などのデータが明らかとなっているアロマターゼ阻害剤による術前ホルモン療法の治療前組織サンプルを用いてメニン発現を評価しし、腫瘍縮小率等との相関を解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
数種類の新規抗体が使用可能となり、各種抗体を用いて9例のエストロゲンレセプター90%以上の乳癌薄切切片を各種条件下で免疫組織染色して、染色の特異性や染色強度、染色の妥当性を検討した。その結果Bethyl社のIHC-00572抗体(200倍希釈)が特異性、強度において最適であった。また本抗体でのメニン発現のH-ScoreとPgR発現の程度が有意に相関した(相関係数:0.80、P=0.01)。以上の結果より新規抗体であるIHC-00572抗体を使用することを決定した。上記経緯の中で抗体の選出に多少時間がかかったが、良好なpreliminaryなデータが得られたのでおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究においてBethyl社のIHC-00572抗体(200倍希釈)が特異性、強度において最適であったので、次年度は臨床成績などのデータが明らかとなっているアロマターゼ阻害剤による術前ホルモン療法の治療前組織サンプル50例を用いてメニン発現を評価し、臨床的には腫瘍縮小率や乳房温存率等との相関を解析する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
最近数種類の新規抗体が使用可能となり、そのうち2種類の抗体を用いて9例のエストロゲンレセプター90%以上の乳癌薄切切片を各種条件下で免疫組織染色して、染色の特異性や染色強度、染色の妥当性を検討した。その結果Bethyl社のIHC-00572抗体(200倍希釈)が特異性、強度において最適であったが、この抗体の選出に予想以上の時間を費やしたため、計画していた次のステップの実験が本年度中に実行不可能となった。しかしpreliminaryなデータとしては結果は良好であったので、次年度の実験にとって今年度の結果は極めて有用である。 後ろ向き試験として臨床成績などのデータが明らかとなっているアロマターゼ阻害剤による術前ホルモン療法の治療前組織サンプル50例を用いてメニン発現を評価し、臨床的には腫瘍縮小率や乳房温存率等との相関を解析するために前年度未使用額を使用する。さらに前向き臨床試験によりルミナール型乳癌術前ホルモン療法症例の治療前組織サンプルにおけるエストロゲンレセプター関連因子であるメニンの発現量を免疫組織染色 (H Score)で解析し、奏効率との相関を解析する。基礎実験としては完全型エストロゲンレセプター阻害剤フルベストラントによるルミナールA型乳癌の増殖抑制能とメニンとの関連の解析するためにメニン発現ベクターをルミナールA型乳癌細胞株MCF-7に導入し、フルベストラントのER分解能を免疫組織染色およびウェスタンブロット法で比較検討するために新年度研究費を使用する。
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