研究課題/領域番号 |
24591934
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
神田 達夫 新潟大学, 医歯学系, 講師 (80303147)
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研究分担者 |
近藤 格 独立行政法人国立がん研究センター, 国立がん研究センター研究所, 分野長 (30284061)
廣田 誠一 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (50218856)
中島 真人 新潟大学, 医歯学系, 助教 (60588250)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | GIST / KIT / 悪性化 / 細胞培養 / 肉腫 |
研究概要 |
本研究の目的は、消化管間質腫瘍(GIST)の安定細胞株を確立し、その細胞を材料としたプロテオーム分析によりGISTの悪性化に関与する分子を同定することであった。本年度は初年度、かつ最終年度となったが、新潟大学医歯学総合病院で臨床的GISTと診断され、外科的に切除された新鮮腫瘍標本25検体について細胞培養が試みられた。うち、3例は培養開始後、組織学的に非GIST(線維肉腫1例、神経鞘腫2例)と診断され、残り22例においてGISTの組織学的診断が得られた。GIST22例のリスク分類は、超低リスクが1例、低リスクが8例、中リスクが6例、高リスクが2例、転移腫瘍が3例、検査中が2例であった。切除された新鮮腫瘍を細切し、仔牛血清加DMEM培地に培養した。2例が感染のため培養初期に廃棄されたが、20例において初期の培養に成功した。しかしながら、継代を重ねるにしたがい培養細胞はKIT発現を喪失し、それに伴い増殖活性も低下した。残念ながら、現時点では細胞株化に至った症例はいまだにない(継代回数の中央値は6代。最短1代、最長39代)。2例において培養細胞のKIT遺伝子分析が行われ、もととなった腫瘍と同一の遺伝子変異であることが確認された。このことから、培養過程におけるKIT発現の喪失はepigeneticな変化であることが示唆された。より安定的な培養を得るため、培養液の変更、三次元培養、脱メチル化剤の添加などが行われたが、KIT発現および細胞発育の改善は得られなかった。GIST細胞の培養は技術的に難しい。今後、研究を継続するためにはGIST882など他施設保有の細胞株の使用も考慮する必要がある。
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