研究課題/領域番号 |
24591937
|
研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
菊池 寛利 浜松医科大学, 医学部, 助教 (70397389)
|
研究分担者 |
今野 弘之 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00138033)
|
キーワード | 消化管間質腫瘍 / 癌幹細胞 / マイクロアレイ / 分子標的薬 |
研究概要 |
固形癌における癌幹細胞 (cancer stem cell;CSC) 理論と同様に、消化管間質腫瘍(Gastrointestinal stromal tumor;GIST)にもstem cellが存在するとの仮説に基づき、この細胞集団の同定さらに遺伝子発現の特徴から、GISTに対する新規治療標的を同定することを最終目的とし、以下に示す実験を行った。 1.外科手術にて切除した胃GIST臨床検体7例から、cancer tissue originated spheroids (CTOS) 作成方法を用いて、GIST originated spheroids (GISTOS)を作成した。具体的には、GIST組織をミンスした後にLiberase DH にて酵素処理し、金属フィルターにて濾過し、organoidsを作成した。これをStemPro(+ supplements)培養液中で培養することにより、GISTOSを得た。 2.得られたGISTOSをヌードマウスの皮下へ移植し、GIST皮下腫瘍の形成を試みたが、未だ成功にいたっていない。コラーゲンゲル内でGISTOSの3D培養を行い、ゲルと共にヌードマウスの皮下へ移植し数か月観察したが、GISTの皮下腫瘍形成は得られなかった。 4.得られたGISTOS(stem cell +++)と元の臨床GIST(stem cell +/-)からRNAを抽出し、マイクロアレイ解析したところ、クラスタリングでGISTOSと臨床GISTの2群に分かれた。Gene Set Enrichment Analysis (GSEA)では、各種遺伝子の発現に変化がみられており、現在も解析を継続中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
外科手術検体からの、GIST originated spheroids (GISTOS)作成は7例で成功したが、得られたGISTOSをヌードマウスの皮下へ移植し、元の形質が再現させることが未成功である。また、GIST細胞株の樹立も試みたが、継続した培養は達成できていない。これらは改良を重ね検討中であるが、手術によって得られる臨床検体を要する実験であり、新規手術症例を待つ必要が生じるため、時間を要する。このため、研究の進行が当初の計画より遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
GISTOS(stem cell +++)と元の臨床GIST(stem cell +/-)における遺伝子発現を、マイクロアレイにて比較検討した。今後解析を追加し、Stem cell特異的に発現している、新規治療標的となり得る分子を同定する。同遺伝子の発現産物(タンパク)を過去のGIST臨床検体を用いて免疫染色にて検討する。細胞株の樹立は未達成であるが、最近GIST細胞株の市販が開始された。既に購入済みであり、今後GIST細胞株を用いた遺伝子機能解析も行っていく予定である。
|