研究課題/領域番号 |
24591938
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
神谷 欣志 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (20324361)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 食道癌 / 下咽頭・頚部食道癌 / 遊離空腸再建 / ICG血管造影 |
研究概要 |
16週齢雄SDラットの上腸間膜動脈(SMA)閉塞モデルを用いて、ICG血管造影による小腸蛍光輝度の経時的変化を検討した。SMA閉塞群(n=5)ではコントロール群(n=5)に比較して、T1/2naxが有意に延長(5.6±1.5 vs 1.2±0.2 sec)することを確認した。 この結果を踏まえ、2007年2月~2012年6月の期間に遊離空腸再建症例25例に対して行われた30回のICG血管造影映像(血流良好群27回、静脈閉塞群3回)を対象として、輝度解析ソフトにより得られた最高輝度、最高輝度到達時間、中間期度到達時間(T1/2max)、立ち上がり時間(Tr)、減衰率を臨床経過と比較検討した。この結果、臨床例においても静脈閉塞群でT1/2maxが有意に延長することを見いだした。また、血流良好群のうち術後腸管壊死を来した2例を除いた25回のICG血管造影映像より算出したT1/2max基準値(mean +/- 2SD; <10.3)は、感度60%、特異度96%、正診率90%で術中術後の血流障害(術中静脈閉塞3例、術後壊死2例)を検出し得た。 さらに、ICG血管造影法を術後の移植腸管血流評価に応用し、10症例(血流良好群8例、腸管壊死群2例)で術中に作成したモニタリングフラップの術後血流評価をICG血管造影法により行った。術後24時間のモニタリングフラップICG血管造影から得られたT1/2maxは、壊死群において有意に延長するという結果を得た。このことは、術後第2病日、4病日で腸管壊死に陥った移植腸管に存在した早期の血流障害を、T1/2maxにより術後24時間の時点で判定しうる可能性を示唆するものと考えられた。 以上より、映像輝度解析ソフトによって算出されるT1/2maxは、再建腸管の静脈還流異常を鋭敏に判定できるパラーメーターとなりうる可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物モデルでの検討、臨床例での検討ともにほぼ予定通り進行している。臨床例の検討は、今後胃管再建、結腸再建症例での評価を行っていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
臨床例での検討では、遊離空腸再建に加え、胃管再建、結腸再建症例での評価を新たに追加して行っていく。遊離空腸再建では、術中評価に加え、モニタリングフラップによる術後評価の症例も蓄積していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度は、消耗品、解析用機器など物品費の一部を従来品でまかなうことができたため、この分を次年度へ繰越した。25年度は、物品費約130万円、旅費、人件費、その他約30万円の予算を計画している。
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