研究課題/領域番号 |
24591942
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宮田 博志 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80362713)
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研究分担者 |
山崎 誠 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50444518)
高橋 剛 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50452389)
田中 晃司 大阪大学, 医学部附属病院, その他 (70621019)
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キーワード | 食道癌 / 化学り療法 / マイクロRNA / 腫瘍間質 |
研究概要 |
miR-27を介した食道癌化学療法耐性メカニズムの解明 前年度までに食道癌術前化学療法施行症例において血中miR-27の高発現が化学療法耐性に関連することを報告した。今回、miR-27が食道癌化学療法耐性にどのようなメカニズムで関与するのか検討を行った。 (1)miR-27の食道癌細胞に対する直接的作用 食道癌細胞株においてmiR-27をsiRNAにてノックダウンして、シスプラチンに対する感受性をMTTアッセイとアポトーシスアッセイを用いて検討したが、いずれにおいてもコントロール群と比べてシスプラチン感受性に差を認めなかった。この結果より、miR-27の化学療法耐性に寄与するメカニズムは癌細胞への直接的作用ではないことが示唆された。 (2)miR-27の食道癌細胞に対する間接接的作用 fibroblastにmiR-27を導入するとα-SMAを発現するようになり、fibroblastがcancer-associated fibroblast(CAF)様に変化することが確認された。またmiR-27を導入したfibroblastの培養上清を食道癌細胞にふりかけると、コントルール群に比べて食道癌細胞のシスプラチン感受性が低下した。またmiR-27をノックダウンした食道癌細胞をfibroblastと共培養すると、コントロールに比べてシスプラチン感受性が低下した。これらの結果より食道癌細胞から分泌されたmiR-27が腫瘍間質のfibroblastに作用してCAF様に変化させることで、食道癌化学療法耐性に関与することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
miR-27の食道癌細胞に対する直接的作用の実験では、miR-27の化学療法耐性に関与するメカニズムを証明できず研究の進展があまりみられなかったが、腫瘍間質に着目してfibroblastを介した間接的作用を証明する実験にシフトしてから研究が進展するようになった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までに、食道癌細胞から分泌されたcirculating miR-27が腫瘍間質のfibroblastに作用してCAF様に変化させ、その結果、食道癌細胞に化学療法耐性をもたらすことが確認された。今後は、miR-27によってCAF様に変化したfibroblastからどのような因子が放出されて食道癌細胞に化学療法耐性をもたらすのか、またその因子を抑制することで化学療法耐性が克服されるのか、を食道癌細胞株を用いた実験やマウスモデルの実験で検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度に必要な物品を全て購入したため。 次年度に必要な物品を購入するため。
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