研究課題
癌幹細胞は自己複製能、多分化能、治療抵抗性を有し癌組織を維持する。癌の克服のためには、癌幹細胞に特異的に発現する遺伝子を同定し、その機能を解明することが必須である。本研究の目的は ①SAGE法(Serial Analysis of Gene Expression法)による食道癌、胃癌幹細胞における包括的遺伝子発現解析、②新たな癌幹細胞特異的遺伝子の同定、③その遺伝子の機能解析である。CD44(+)細胞の分取、幹細胞特性の確認を行うため、これまで以下のとおり研究を実施した。食道細胞株TE-8、胃癌細胞株MKN45(ともにCD44(+)細胞確認済み)を用い、FACSにてこれらの細胞株よりCD44(+)とCD44(-)細胞群を分離・培養した。さらにFACS を用いてこれらの細胞株におけるSide Population細胞の分布を確認。Cell migration assay, Cell invasion assay にて細胞増殖・浸潤能について、また抗癌剤耐性の有無についてMTT assay を用いて検討を行った。本年度はこれらの細胞株からCD44(+)細胞と(-)細胞を分取し、SAGE 法によりCD44(+)、(-)細胞の包括的遺伝子解析、SAGE ライブラリーの作成を行った。現在、食道癌、胃癌細胞株でのCD44(+)細胞、(-)細胞で発現の異なる遺伝子の抽出を行い、その機能解析を行っている。
3: やや遅れている
食道癌、胃癌細胞株でのCD44(+)細胞、(-)細胞で発現の異なる複数の遺伝子を抽出し、その機能解析を行っている。現在、癌細胞の浸潤能を、Cell migration assayで、転移能をCell invasion assayで検討している。細胞株に種々の抗癌剤を接触させMTT assayで細胞増殖能を検討している。複数の遺伝子について検討しているため、やや達成度が遅れていると評価した。
SAGE 法により食道癌、胃癌細胞株でのCD44(+)細胞、(-)細胞で発現の異なる遺伝子の抽出を行い、同定された発現遺伝子の中から以下の基準で候補遺伝子を選び出す。得られた遺伝子プロファイルを比較することによって、癌幹細胞に特異的な遺伝子の抽出が可能である。選択基準は(a) CD44(+)細胞と(-)細胞での発現が大きく異なる、(b)機能性タンパクをコードしていると推測される、(c)従来の概念に照らしてその機能が癌の生物学的特性と関連する可能性が示唆される、などである。このような遺伝子の中に幹細胞特異的遺伝子がある可能性が高いと考えられる。以後の解析は個々の遺伝子によって異なるが、分子生物学的、細胞生物学的および実験病理学の手法を用いてその遺伝子の機能解析を行う。また、既知遺伝子についてはCD44(+)および(-)細胞にて定量的PCRで発現の差を確認する。さらに蛍光抗体免疫染色法にて検出し、細胞内の局在を解析する。次にRNAi を用いて恒常的に発現抑制を行い、細胞機能の変化を検討する
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