研究課題/領域番号 |
24591946
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉永 敬士 九州大学, 大学病院, 特任助教 (90507790)
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研究分担者 |
沖 英次 九州大学, 大学病院, 助教 (70380392)
掛地 吉弘 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80284488)
佐伯 浩司 九州大学, 大学病院, 助教 (80325448)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 胃癌 / 術前化学療法 / がん幹細胞 / ニッチ |
研究概要 |
新規がん幹細胞マーカーの検索として胃癌培養細胞株(6株)の培養およびFACSを用いたside populationの解析とその分離解析を行うため、当研究室では細胞のソーティングの実績がなかったため、外部委託の方針としたが、現在、受注殺到で新規サービス中止中となっており、再開まで待っている状況である。よって、別の手段として胃癌培養細胞株において胃癌がん幹細胞、ニッチマーカーやマーカー候補の分子について定量的RT-PCR法を用いて遺伝子発現解析をおこなった。これまでに実際解析された遺伝子はCD44,CD133, ALDH1A, SNAIL, E-cadherinでCD44,CD133, ALDH1Aについけは低分化の癌細胞株(とくにスキルスタイプ)で多く発現を認め、分化型の細胞での発現は殆ど発現を認めなかった。また、EMTマーカーSNAIL, E-cadherinの解析ではSNAIL, E-cadherinの発現に逆相関を認めた。現在、これらの遺伝子については胃癌臨床検体を用いた発現解析を行っている。 新規マーカー検索が滞っている現状であったため、胃癌臨床検体の検討では、術前化学療法が胃癌患者の予後を改善するかといったこの研究課題の前提となる部分からの解析を行った。進行・再発胃癌によって化学療法が施行された症例において、化学療法が奏効し手術可能となった症例と進行・再発胃癌で化学療法が施行された症例との予後、治療効果、使用された化学療法のレジメンについて検討した。切除不能進行・再発胃癌で化学療法施行された症例108例と術前化学療法施行後胃切除術が施行された19例について検討したところ、治療開始から2年生存率が36.3%と49.0%であった。前向き臨床試験の結果でなく、症例が少ないため、確定的なことは言えないが、手術による予後が改善する症例があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
胃癌細胞株におけるがん幹細胞マーカーのスクリーニングと胃癌術前化学療法施行例と進行再発胃癌化学療法症例における治療効果、予後の解析と臨床病理学的特徴の検索を行えている。進行・再発胃癌によって化学療法が施行された症例において、化学療法が奏効し手術可能となった症例と進行・再発胃癌で化学療法が施行された症例との予後、治療効果、使用された化学療法のレジメンについての検討で術前化学療法が予後を改善することが示唆される結果であった。使用されたレジメンで検討したところ、TS-1とシスプラチンの併用療法(SP療法)が最も予後を改善することが示唆され、SP療法と他のレジメン症例の組織において既知のがん幹細胞マーカーの発現解析の準備を現在行っている。
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今後の研究の推進方策 |
アレイを用いた、新規がん幹細胞マーカーの包括的検索と既知のマーカーを用いた解析行い、術前化学療法によりがん幹細胞、ニッチの組織における変化を捉え、その変化と治療効果、予後との関連を解析する。新規のがん幹細胞マーカーの包括的な解析(細胞ソーティング、マイクロアレイなど)は外注で行う方針であるが、受注再開の目処が立たないようであれば、他施設との共同研究を考慮する。
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次年度の研究費の使用計画 |
アレイ、PCR関連の試薬や免疫組織用の試薬や抗体および消耗品の購入。細胞培養関連の消耗品の購入。細胞ソーティングについて外部受注にかかる費用。成果についての学会発表や論文作成にかかる諸経費を計上している。
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