研究概要 |
新規がん幹細胞マーカーの検索として胃癌培養細胞株(6株)の培養およびFACSを用いたside populationの解析は外部委託の方針としたが、現在、受注殺到で新規サービス中止中となっており、再開まで待っている状況である。よって、別の手段として胃癌培養細胞株において胃癌がん幹細胞マーカー候補の分子について定量的RT-PCR法にて遺伝子発現解析を行った。これまでに実際解析された遺伝子はCD44,CD133, ALDH1A, SALL4,SNAIL, E-cadherinでCD44,CD133, ALDH1Aについけは低分化の癌細胞株(とくにスキルスタイプ)で多く発現を認め、分化型の細胞での発現は殆どなかった。SALL4の検討を行ったが高発現株は2株で、発現のパターンはCD44,CD133, ALDH1Aと全く異なった。また、EMTマーカーSNAIL, E-cadherinはSNAIL, E-cadherinの発現に逆相関を認めた。現在、これらの遺伝子については胃癌臨床検体を用いた発現解析を行い、健常組織より発現が高いものはCD44であったので、CD44は解析に用いるよい候補と考えられた。 新規マーカー検索が滞っている現状のため、術前化学療法が胃癌患者の予後を改善するかといったこの研究課題の前提となる部分からの解析を行った。進行胃癌症例で胃切除術先行した症例と化学療法を行いR0,R1手術可能であった症例の検討を行った。当施設での進行再発胃癌の2剤併用化学療法による生存期間中央値(MST)は19.5ヶ月で、術前化学療法症例でR0,R1手術施行症例のMSTは25.3ヶ月と延長し、特に術後も2剤併用化学療法を施行した症例では42.8ヶ月と著明に延長することが判明した。これらの症例のうち、長期生存例とそうでなかった症例においてがん幹細胞マーカー発現の検討を行う予定である。
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