研究実績の概要 |
新規がん幹細胞マーカーの検索として胃癌培養細胞株のFACSを用いたがん幹細胞のソーティングを外部委託予定であったが、新規サービス中止となり、サービスは再開されなかった。よって、胃癌培養細胞株において胃癌がん幹細胞、ニッチマーカーやマーカー候補の分子について定量的RT-PCR法を用いて遺伝子発現解析をおこなった。これまでに実際解析された遺伝子CD44,CD133, ALDH1A, SNAIL, E-cadherin,SIP1, TGF-β1, activin βA, LTBP1, LTBP2, LTBP4, CXCR4でCD44, CD133, ALDH1Aは低分化の癌細胞株で多く発現を認め、分化型の細胞での発現は殆ど発現を認めなかった。また、EMTマーカーSNAIL, E-cadherinの解析ではSNAIL, E-cadherinの発現に逆相関を認め、activin βA発現とLTBP2発現にも有意な相関を認めた。現在、これらの遺伝子については免疫染色法にて胃癌臨床検体を用いた発現解析を行っている。また、SIP1とE-cadherin、CXCR4については臨床検体での発現の検索と臨床病理学的意義の検討を行い、Ann Surg OncolとAnticancer Resに採用された。 術前化学療法が胃癌患者の予後を改善するか?といった、この研究課題の前提となる部分の解析を行い、進行・再発胃癌にて化学療法施行症例では、化学療法が奏効し手術可能となった症例と進行・再発胃癌で化学療法が施行された症例との予後、治療効果、使用された化学療法のレジメンについて検討した。切除不能進行・再発胃癌でS-1ベースの化学療法施行症例と術前化学療法後胃切除術施行症例の検討したところ、術前化学療法後胃切除術施行症例が長期生存することは明らかとなった(投稿中)。確定的なことは言えないが、手術による予後が改善する症例があることが示唆された。
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