研究課題/領域番号 |
24591948
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
岩上 志朗 熊本大学, 医学部附属病院, 医員 (70530153)
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研究分担者 |
馬場 祥史 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (20599708)
渡邊 雅之 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 准教授 (80254639)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | LINE-1 / エピジェネティクス / メチル化 / 胃癌 / 予後因子 / Pyrosequence |
研究概要 |
ゲノム全体の低メチル化(=LINE-1の低メチル化)は、癌において重要なエピジェネティックな変化であるが、胃癌におけるLINE-1メチル化の意義を検討することが本研究の目的である。胃癌切除症例における癌部および周辺正常胃粘膜のLINE-1のメチル化レベルを測定し、臨床病理学的因子との相関を検討した。当院でR0の胃切除を行った胃癌203例を対象とした。切除標本のプレパラートより抽出したDNAを用いて、bisulfite処理とpyrosequence technologyにてLINE-1のメチル化レベルを解析し、その後臨床病理学的因子との関連を調べた。 癌部のLINE-1メチル化レベルは11.6 %~97.5 %(平均値71.4 %)であった。同一症例の正常胃粘膜と癌部で比較したところ、LINE-1メチル化レベルは癌部で有意に低下していた(p<0.0001; N=74)。LINE-1メチル化レベルと年齢との間には相関関係を認めなかった。また、Stageと癌部のLINE-1メチル化レベルとの間には相関関係を認めなかった。LINE-1のメチル化レベルと予後との関係性を検証した。カプランマイヤー法で、全生存率を比較したところLINE-1低メチル化群は高メチル化群に比べ優位に予後不良であった(log-rank p=0.029)。 胃癌症例においても、癌部におけるLINE-1の低メチル化が認められた。また、LINE-1のメチル化は予後因子になる可能性が示唆された。このことから、胃癌LINE-1メチル化レベルは、胃癌の予後予測因子となりうることが示された。今回の結果は患者別の個別化治療に貢献できる可能性があり、非常に臨床的意義があると考えられる。この結果を示した論文は、Gastric Cancerに採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画書に記した予定通りに研究は遂行され、意義深い結果が得られた。これらの結果は、Gastric Cancerに既に採択されている。
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今後の研究の推進方策 |
胃癌細胞株を用いたIn Vitro assayを行う。胃癌細胞株のLINE-1メチル化レベルを測定し、低メチル化株と高メ チル化株に分類する。そして、細胞浸潤能(invasion assay)、増殖能(proliferation assay)、抗アポトーシ ス作用(flow cytometory)、抗癌剤感受性 などにおいて、両株に差があるかを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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